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【震災復興関連株・銘柄】地震株の選び方を解説(2024年版)
日本は地震が多い国です。世界で起きるマグニチュード6以上の地震の約2割が日本周辺で発生すると言われています。
過去、地震の被害が出るたびに、救助や復旧、被災地の復興に地方自治体や国、民間が協力して対応にあたってきました。震災復興への資金の出し手は主に国や自治体です。2024年1月1日に起きた能登半島地震については、2024年度予算の予備費には1兆円が計上されました。発生から十数年が経過した東日本大震災の復興費用は累計で40兆円を超えています。
出典:復興庁
震災復興にはこのように大きなお金が動くため、大きな地震が起きると復興需要の期待が高まり震災復興関連株が値上がりする傾向にあります。
震災復興の内容は、土木建設をはじめ通信、電気や水道の復旧、さらには被災地の経済を回復させるための農業漁業など地場産業や観光業の振興まで多岐にわたります。
震災復興関連株・銘柄一覧
震災復興関連株を、分野ごとに紹介します。
① 緊急支援物資
萩原工業(7856)は補修や工事などに使われる多目的用ブルーシートの国内最大手です。
② 電気通信工事
NTTグループを支えるミライト・ワン(1417)やコムシスホールディングス(1721)などの電気通信工事会社は、災害発生時には通信設備の被害状況の確認と復旧作業を担います。能登半島地震では地震発生から1ヶ月で携帯基地局の85%が復旧しました。
③ 水道
能登半島地震で復旧の遅れが指摘されています。ここでは上下水道が専門のNJS(2325)を取り上げました。
④ 海運
海上輸送は災害の影響を受けにくく復旧が早いため、災害時の緊急物資の輸送手段として使われます。島国である日本の利点です。自衛隊の車両を被災地に船で運ぶ栗林商船(9171)は、内航をメインとする唯一の上場会社でありモーダルシフト※1の国策銘柄でもあります。
※1 温暖化ガスの排出を抑えるためにトラック輸送を減らし、船と鉄道による輸送を増やすこと。
⑤ 建設機械
被災地の復旧工事にまとまった台数が長期間必要となります。建機最大手の小松製作所(6301)のほか、建機・重機レンタル事業者のカナモト(9678)なども要チェックです。
⑥ 災害廃棄物処理
がれきなどの各地の災害廃棄物を処理するTREホールディングス(9247)は東日本大震災の震災復興事業にも貢献しました。
⑦ 土木建設
東日本大震災の復興事業の3割を占める土木建設需要のピークは2013年でした。特殊土木に強い日特建設(1929)、地盤改良や護岸工事の不動テトラ(1813)、橋梁建設が専門の横河ブリッジホールディングス(5911)の3社を、ゼネコンより規模が小さく値動きが期待できる銘柄として選んでいます。これら土木建設関連株は、国土強靭化※2の国策銘柄でもあります。
※2 自然災害に強い国づくり・地域づくりを行い、大災害が発生しても人命保護・被害の最小化・経済社会の維持・迅速な復旧復興ができるよう目指す取組のことです。
⑧ 産業振興
農業や漁業、商業や工業など地場産業を支援します。被災地が広域に渡る場合は、観光振興施策を材料に旅行関連株を買うのも一つの選択と言えるでしょう。能登半島地震については「北陸応援割」が予定されています。
⑨ 被災調査
ドローンベンチャーのブルーイノベーション(5597)は、能登半島地震の被害状況の調査をおこないました。
銘柄名 (クリックタップで最新株価) |
事業内容 |
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ミライト・ワン(1417) | 通信建設会社。NTTグループをはじめとする通信事業会社が取引先。水道管の劣化をAIで予測するサービスなども手がける。測量大手の国際航業を2023年12月に買収した。 |
不動テトラ(1813) | 土木建設会社。地盤改良や護岸土木に強み。東日本大震災では復興道路や河川・海岸・港湾・漁港・空港などの基幹インフラの復旧に貢献した。能登半島地震を受けて株価が一時急騰。 |
日特建設(1929) | 基礎・地盤改良などの特殊土木工事の大手。地震・台風・豪雨などの被災地での地盤改良や法面やがけ崩れの修復を多く請け負っている。防災、減災関連の公共事業を継続して受注。 |
NJS(2325) | 上下水道のコンサルタント会社で、調査・設計・施工管理まで一貫しておこなう。地震などの災害時には、災害状況調査や査定、災害復旧・復興作業について上下水道事業者を支援している。 |
ブルーイノベーション(5597) | ドローンやロボットの遠隔操作システムを開発。2023年12月東証グロースに新規上場。能登半島地震で孤立した集落の捜索や河川・橋梁の被災状況の調査をドローンで実施した。小型株ならではの値上がり益に期待したい。 |
横河ブリッジホールディングス(5911) | 橋梁建設会社。受注額の3割前後を高速道路会社各社が占める。東日本大震災では被災橋梁の点検調査や緊急復旧工事をおこなった。2024 年3月期から累進配当に変更。 |
小松製作所(6301) | 世界2位の建設機械(建機)メーカー。東日本大震災では、被災自治体にがれき撤去用の建機やガソリン用タンクローリー車を1000台規模で貸出した。能登半島地震の被災地においても建機、フォークリフト、発電機などの貸与や人的支援を実施。 |
萩原工業(7856) | 合成樹脂加工製品メーカー。建築現場や被災家屋の応急補修などに使われるブルーシートで国内シェアトップ。工事現場の粉塵の飛散や騒音を抑える防災・メッシュシートも製造している。 |
栗林商船(9171) | 海運会社。内航・近海海運業者。車両が自走乗降できるRORO船の定期運航が主力事業。東日本大震災・伊豆大島土砂災害・熊本地震・西日本豪雨では救援物資や自衛隊の車両を海上輸送した。 |
TREホールディングス(9247) | 災害廃棄物処理のタケエイと資源リサイクル大手のリバーホールディングスが経営統合して発足。東日本大震災の復興需要が継続中。能登半島地震で被災した輪島市の同社の処分場は半年をめどに稼働予定。 |
震災復興関連株・銘柄の選び方
震災復興関連株の選び方を、「復興フェーズ(段階)」、「地震の規模」に分けてご紹介します。
震災復興関連株を選ぶ際は、「いつどこで」、「どのような規模で」起きた地震なのか把握する必要があります。地震が起きた時期や場所、規模によって対象とすべき分野と銘柄が異なるからです。
復興フェーズ(段階)
地震直後の段階では、救助や被害状況の把握、緊急物資や輸送手段の応急的確保、通信設備や水道、電気の復旧が日単位・週単位で急がれます。次に、被災建物の補修や仮設住宅の整備など、人が暮らすための処置を月単位でおこないます。
最後に、道路や橋・鉄道などのインフラの年単位の本格的な復旧がはじまり、被災地域や周辺の産業復興への支援がおこなわれます。支援対象は農業漁業、商工業、観光などの地場(地域)産業です。
地震の規模
復興需要による値上がり益を狙いたい場合は、発生した地震の規模がよほど大きくない限りは中小型株が適しているでしょう。
甚大な被害を東北地方にもたらした東日本大震災の復興需要は、建機大手の小松製作所(6301)やゼネコンなどの大型株の業績をも押し上げました。
しかし、比較的小さな地震による大型株へのインパクトは大きくはありません。大手にとって震災復興は数ある事業のひとつだからです。大型株を買って長く持ちたい場合は、その銘柄の主な事業や配当政策など震災復興関連以外に目を向ける必要があるでしょう。
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まとめ
震災復興関連株は、地震やその被害が報道されるたびに注目を集めています。
震災は、流通や生産など被災地の産業や経済活動にダメージを与えますが、のちに復旧・復興需要を継続的に生み出すことになるからです。震災復興関連銘柄を検討する際は、地震の被害の規模や範囲、復興需要の段階や内容を調べることを忘れないようにしましょう。
震災復興銘柄を買うことは、株式市場を通じた被災地への間接的な支援につながります。ぜひ積極的に検討したいですね。