株の「材料」とはなんですか?探し方も教えてください
株の材料にはどのようなものがありますか?株価に影響のある材料が知りたいです。また、おすすめの探し方も教えてください。
まずは、「株の材料とは何か?」を整理しておきましょう。株の材料とは、株価に影響を与えるできごとのことです。特に、値上がり要因となる材料を持っている株を「材料株」と呼びます。
この材料には、株価の上昇をもたらす好材料と、株価の下落をもたらす悪材料があります。好材料と悪材料にどのようなものがあるか知っておくと、投資で利益を得たり損失を回避したりするのに役立ちます。それでは、一緒に見ていきましょう。
材料の種類
株価に影響を与える代表的な材料を、好材料と悪材料に分けて紹介します。
好材料の例
好材料の例として、代表的なものは以下の3つです。
- 業績の上方修正
- 増配・復配
- 新製品開発の成功
3つに共通しているのは、「前向きな内容」である点です。業績の上方修正や増配・復配が発表されると、その会社のビジネスが絶好調だとわかります。新製品開発に成功すると、将来的に業績が伸びる可能性があります。したがって、投資家にとって「うま味のある銘柄」となるため、株価が上がる材料となるのです。
事例として、業績の上方修正を発表したキヤノンマーケティングジャパン(8060)の株価を見てみましょう。
<キヤノンマーケティングジャパン(8060)の株価推移(10日間)>
(出典:SBI証券)
キヤノンマーケティングジャパンは、2022年4月25日に発表した決算(2022年12月期第1四半期)で、2022年12月期の通期業績を上方修正しました。このことが好感され、翌日4月26日は株価が大幅な上昇となりました。「ビジネスが絶好調である」と推測できる材料が発表されると、株価が上昇するのです。
また、材料が発表されることで、株価が連日上昇していくケースもあります。「株価の上昇」が、投資家がその銘柄を買う理由になるからです。このような循環に入ると、大きな利益を手に入れられます。しかし、次のような場合は材料が出ても株価が上がらなかったり、下がったりするので注意が必要です。
悪材料の例
悪材料の例として、代表的なものは以下の4つです。
いずれも、先ほど紹介した「好材料と反対のできごと」です。業績の下方修正や減配になると、ビジネスが不調だと判断できます。また、新製品開発に失敗すると、それまで高まってきた投資家の期待が崩れるので、どうしても株価が下がってしまうのです。MSワラント※1は、個人投資家から嫌われている増資方法なので、悪材料として扱われ、株価が下がる傾向にあります。
※1 MSワラントの仕組みや株価への影響についての詳しい説明は、 MSワラントとは?仕組みをわかりやすく解説しますをご覧ください。
事例として、サンバイオ(4592)を紹介します。2019年1月、開発を進めている医薬品の治験(テスト)に失敗したと発表しました。下の株価チャートを見てください。
<サンバイオ(4592)の株価推移(5年間)>
(出典:SBI証券)
治験の失敗が発表された2019年1月、株価が急落しているのがわかります。発表直前は12,000円付近だったのですが、発表後は4日連続ストップ安となり、2,400円付近で寄り付きました。発表後に株価が約80%下落した計算となります。
サンバイオの株価が大暴落した裏側には、サンバイオに対して投資家が抱いていた「期待」が大きかったことがあります。サンバイオが開発していた薬は、慢性脳梗塞に効く薬でした。実は、慢性脳梗塞にはいまだ有効な治療薬がなく、サンバイオが開発に成功すれば、世界ではじめての治療薬となる予定だったのです。
このような「夢」のある会社だからこそ、投資家の期待が高まっていました。そのため、“割高でも買われる”状態になり、株価が急上昇していたのです。サンバイオは極端な例ですが、悪材料の発表により株価が急落するリスクがあることを覚えておきたいですね。
材料の探し方・見つけ方
続いて、材料の探し方・見つけ方を、以下の3つの材料ごとに説明します。
- 業績の上方修正・下方修正
- 増配・復配・減配
- 新製品開発の成功・失敗
なお、材料探しについては、四半期ごとに発表される決算資料をていねいに確認すること、日々のニュースを仕入れることの2つが大事になります。これらを踏まえて、具体的な方法を紹介します。
1.業績の上方修正・下方修正
業績の上方修正・下方修正が発表されるかどうかを予想するためには、会社の業績を四半期ごとに追いかける必要があります。そして、四半期ごとの業績を使い、会社の予想業績に対する業績の到達度をはかる「進捗率」を計算しなければなりません。
このように説明すると、とてもむずかしい作業のように思えてきます。安心してください。マネックス証券が提供する銘柄スカウターを使うと、進捗率を一瞬で入手できてしまいます。
<フジ・コーポレーション(7605)の進捗率>
(出典:マネックス証券)
こちらは、マネックス証券の銘柄スカウターに載っている進捗率です。最新決算時点の進捗率を自動で計算してくれているので、自分で計算する手間が省けます。そして、進捗率を使うときは、①最新決算時点の数値と、②前年同期の数値を比べます。
フジ・コーポレーションは、最新決算時点の進捗率が59.0%となっています。続いて、前年同期の進捗率を確認すると、52.1%となっていました。会社の通期業績の経常利益は43.5億円と、前年よりも増えています。したがって、今期は前年よりも業績が好調だと予想できるのです。今後も好調な状態が続いていけば、業績が予想よりも大幅に上振れて、業績の上方修正が発表されるかもしれません。
今回は「業績の上方修正」を探す例を紹介しましたが、業績の下方修正を回避したいときも、同じように進捗率を確認します。具体的には、最新決算時点の進捗率が、前年同期と比べて低くなっていないかを見ればよいのです。マネックス証券の銘柄スカウターを使って、業績の上方修正・下方修正を見つけていきましょう。
2.増配・復配・減配
増配・復配・減配を見つけるには、過去10年ほどの業績を見るとよいでしょう。業績が好調であれば、増配や復配が期待できますし、逆に業績が不調であれば、減配の可能性が高いと考えます。
例として、2019年12月に配当金の減配、2020年12月に無配となった、ペッパーフードサービス(3053)の業績を見てみましょう。ちなみに、この会社は「いきなり!ステーキ」の運営企業としても有名です。
<ペッパーフードサービス(3053)の通期業績推移>
(出典:マネックス証券)
ペッパーフードサービスは、2018年12月期にかけて「いきなり!ステーキ」を大量に出店し、業績を伸ばしてきました。しかし、自社店舗同士が競合するようになり、2019年12月期には売上高の伸びが鈍化したのです。その影響で営業利益は赤字に転落しました。また、翌年2020年12月期は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、売上高が大きく減ってしまいました。
<ペッパーフードサービス(3053)の年間配当履歴>
(出典:マネックス証券)
そのため、ペッパーフードサービスは2019年12月期に減配し、2020年12月期には無配となったのです。2018年12月期の決算で発表された2019年12月期の予想配当金は、2018年12月期と同じ30円でした。したがって、2019年12月期のどこかで業績の悪化を予想できれば、減配を回避できたと考えられます。ここで、四半期ごとの業績推移を見てみましょう。
<ペッパーフードサービス(3053)の四半期業績推移>
(出典:マネックス証券)
四半期業績推移を見ると、2019年12月期の第1四半期(1Q)から売上高と営業利益が減少しています。第2四半期以降も前年比どころか前四半期と比べても減り続けているので、業績の悪化で減配が発表されると推測を立てられます。このように、配当金に関連した材料を見つけるときは、四半期ごとに業績を追いかけるとよいでしょう。
3.新製品開発の成功・失敗
最後に、新製品開発の成功と失敗についてです。新製品開発が成功するか失敗するかを予想するのはかなりむずかしいので、現状どんな取り組みをして、どんな状態にあるかを知ることが第一歩となります。
具体的には、次の方法で新製品開発の情報を手に入れられます。
- 有価証券報告書の「研究開発活動」
- 決算説明資料
- 会社ホームページに掲載されるニュース
<サンバイオ(4592)の有価証券報告書「研究開発活動」>
有価証券報告書の中に、「5【研究開発活動】」という項目があります。ここには、会社が現在取り組んでいる研究開発活動についての情報が載っています。サンバイオの場合は、現在開発を進めている医薬品に関する情報を手に入れられます。
<サンバイオ(4592)の決算説明資料>
決算説明資料に、今後の開発についての方針が載っていることがあります。有価証券報告書を使って現状の把握をしたあとに、こちらを読むと効果的です。
<サンバイオ(4592)の公式ホームページのニュース一覧>
最後に、会社の公式ホームページにある「ニュース一覧」で、新製品開発に関する最新情報を手に入れられます。定期的にチェックするのがおすすめです。
株の材料を探すときには、上に紹介した方法を試してみてください。なお、今回紹介したマネックス証券の銘柄スカウターは、マネックス証券に口座開設すれば、誰でも無料で使えます。まだ口座を持っていない方は、この機会に口座開設の申し込みをしておきましょう。
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投資歴18年目の株初心者アドバイザーです。2005年からの投資成績は+2億円を突破しました!2009年に発売した著書『はじめての株1年生 新・儲かるしくみ損する理由がわかる本』は、累計59,000部のロングセラー。その他、数多くの金融系メディアにも寄稿しています。