「投資主体別売買動向」とは何ですか?
「投資主体別売買動向」とは何ですか?見方がよくわからないので教えてください。
投資主体別売買動向(投資部門別売買状況とも言います)とは、日本の株式市場において、海外投資家(外国人投資家)や個人投資家などの「買い越し」、「売り越し」の売買情報を伝える役割を持っています。
投資主体別売買動向は、トレーダーズウェブでチェックできます。どんな内容が書かれているかは後ほど説明しますが、海外投資家や国内の金融機関、投資信託、個人などに分けて紹介されているので、いろいろな投資家の動向が追えます。
(出典:トレーダーズウェブ)
特に、売買シェアを占める割合が高い海外投資家の動向は、相場のトレンドを作り出すことが多いので、投資家にとって関心が高い情報です。また、週次データの公表は東京証券取引所のウェブサイト上で行われ、公表日は毎週第4営業日です(木曜日が多い)。
トレーダーズウェブでは、投資主体別売買動向の左端に、海外投資家の動向が載っています。一覧でチェックできるのでおすすめです。
(出典:トレーダーズウェブ)
投資主体別売買動向で発表される投資家は、いくつかのカテゴリーに分類されています。それぞれ見てみましょう。
投資主体別売買動向のカテゴリー
海外
- 海外投資家 … 「外為法に規定する非居住者」と定義される。日本株の売買シェアでトップ。海外投資家が株式市場に与える影響はとても大きい。
法人
- 投資信託 … 投資信託の委託会社や運用会社
- 事業法人 … 資産運用を本業としていない、一般的な会社。自社株買いをすると増えやすい
- その他法人 … 政府、地方公共団体、財団法人、特殊法人、従業員持株会、労働組合など
- 生保・損保 … 生命保険会社や損害保険会社
- 都銀・地銀等 … 都市銀行や地方銀行
- 信託銀行 … 年金基金による取引。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や日銀によるETF買い入れはここに含まれる
- その他金融機関 … 信用金庫、信用組合、農林中央金庫など
個人
- 現金 … 個人投資家による現金で売買した現物取引
- 信用 … 個人投資家による保証金で売買した信用取引
次に、投資主体別売買動向を「どのように投資判断に活用するか?」を見てみましょう。
投資主体別売買動向の活用ポイント
この指標の活用ポイントですが、海外投資家と個人投資家の動きを特にウォッチしています。なぜなら、売買代金シェアを見ると、海外投資家が約70%、個人投資家が約23%のシェアを持っていて、両者の合計で93%ものシェアを占めるからです。個人的には、次のような使い方をしています。
- 海外投資家が買っている → しばらく強いかも?
- 海外投資家が売っている → しばらく弱いかも?
- 個人投資家が買っている → しばらく弱いかも?
- 個人投資家が売っている → しばらく強いかも?
このように考える理由は、海外投資家と日経平均株価の動きには相関があって、個人投資家と日経平均株価の動きには逆の相関があるからです。もっとわかりやすく言うと、海外投資家が日経平均株価の動きを作り(順張り)、個人投資家がその動きに逆らう売買(逆張り)をしやすい傾向にあるからです。よって、上記の「①と④」、「②と③」がセットになることが多いです。
<参考:海外投資家の売買動向と日経平均株価の動き>
<参考:個人投資家の売買動向と日経平均株価の動き>
さらに、直近ではコロナショックの影響を緩和するために、「日銀が追加の金融緩和決定!年間12兆円に倍増」と言うニュースが出たので、日銀のETF買い入れも無視できません。日銀の買いは「信託銀行」の中に含まれます。
直近の週間データ(2020年3月19日)をサンプルとして見ると、以下のようになっています。
(出典:投資部門別売買状況 日経平均比較チャート)
ご覧のように、日経平均株価の下落に伴った海外投資家の大量の売りを、個人投資家(&日銀)で支えているような構図です。海外投資家の売却が続くうちは日経平均株価も上がりづらいので、海外投資家が戻ってくるまでは、本格的な上昇は厳しいのかもしれませんね。
※なお、投資主体別売買動向については、東京証券取引所のウェブサイトに掲載されていますが、連続性を見ることに価値があるので、情報収集の際には、まとめサイトを利用すると便利です。
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投資歴18年目の株初心者アドバイザーです。2005年からの投資成績は+2億円を突破しました!2009年に発売した著書『はじめての株1年生 新・儲かるしくみ損する理由がわかる本』は、累計59,000部のロングセラー。その他、数多くの金融系メディアにも寄稿しています。