決算書(決算短信)の読み方を教えてください
決算書の重要さは理解しているのですが、どこを見たらよいのかわかりません。読み方のポイントなどがあれば、教えてください。
決算書(決算短信)を読み解くことで、業績の好不調を判断することができます。決算書はすべてのページをくまなく読むことが望ましいですが、時間的な制約もあるので、私はポイントを押さえてチェックしています。ここでは、最低限読んでおきたい、3つのポイントをかんたんに紹介します。
①事前予想と比べて実績はどうか?
あらかじめ、会社が今期の業績予想を出しているので、その予想と実績値を比べて、「予想と同等か」、または、「それ以上に良い進捗になっているか」をチェックします(会社四季報が予想している数字とも比較します)。
順調であれば特に問題はありませんが、予想よりも数字が悪い場合には、その原因を探ります(③で解説)。ここでは、中央自動車工業(8117)について見ていきます
以上のように、第3四半期(9か月経過)の決算予想から、本決算では上振れて着地しました。主に、それぞれの利益は10%程度の上方修正をしていることになります。
②会社の来期予想はどうか?(本決算の場合)
成長株に投資をしているのにもかかわらず、来期予想が悪い場合には、売却を検討します。ここでは、ぐるなび(2440)について見ていきます
ただし、先程紹介した中央自動車工業(8117)のように、そもそも毎年、保守的な業績予想を出してくる会社もあるので注意です。そういう会社は、中間決算などで上方修正をするクセがあるので、過去の業績修正のクセは見ておくとよいです(※下記画像参照)。また、会社四季報でも、記者による業績予想が出ているの、その数字とも比較しましょう。

(出典:中央自動車工業 マネックス証券の銘柄スカウター)
③「経営成績・財務状態に関する分析」はどうか?
「①事前予想と比べて実績はどうか?」で数字が悪いと判断した場合には、「経営成績・財務状態に関する分析」をチェックします。ここには、なぜそのような業績になったのかという理由が書かれているので、しっかり読み込みます。
決算書を読み進めていくにあたり、ここで頭に入れておきたいポイントは「一時的な不調」なのか、「恒常的な不調」です。一時的な不調であれば、業績が回復してくる可能性があるので、継続保有も検討しますが、ある程度、恒常的な不調であると判断した場合には、売却を検討します。
恒常的な不調の代表例としては、ビジネスモデルの崩壊があります。崩壊の例としては、(1)大企業が参入したことにより競争が激化して利益が出にくくなったり、(2)技術革新や消費者の嗜好が変わることにより、商品・サービスそのものが利用されなくなったりすることです。
例えば、写真を撮る「カメラ」が技術革新によって「デジカメ」に置き変わり、さらに時代が流れて、「スマホ」に置き換わったことがわかりやすい例の1つかなと思います。
「事業等のリスク」の部分では、自分では想像できないようなリスクがチェックできるので、きちんと読んでおきましょう。例としては、「人材確保」、「競合」、「個人情報の取扱い」などがあり、各社、事業内容によって書かれているリスクも異なります。
☆また、決算短信を読んでもよくわからない場合には、企業が独自の形式で解説をした「決算説明書」を読んでみてください。図表がうまく使われているので、決算短信よりもわかりやすく理解できて便利です。ただし、フォーマットが自由になっているので、企業側に有利とも取れる書き方がされていることもあるので、その点は注意して読みましょう。
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投資歴18年目の株初心者アドバイザーです。2005年からの投資成績は+2億円を突破しました!2009年に発売した著書『はじめての株1年生 新・儲かるしくみ損する理由がわかる本』は、累計59,000部のロングセラー。その他、数多くの金融系メディアにも寄稿しています。