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継続企業の前提に関する注記(疑義注記・GC注記)とは?意味をわかりやすく解説します
「継続企業の前提に関する注記(けいぞくきぎょうのぜんていにかんするちゅうき)」とは、倒産するリスクが高まっている会社に付けられる注意書きです。かなり長い名前なので、省略して「疑義注記(ぎぎちゅうき)」や「GC注記※1」とも呼ばれています。
※1 GC注記の「GC」とは、Going Concern(ゴーイング・コンサーン)の頭文字を取ったものです。“会社は将来にわたって事業を継続するものだ”という意味の英語です。
正式名称に入っている「継続企業の前提」とは、“会社は将来にわたって事業を継続するものだ”という前提を指します。この前提が崩れると、会社が倒産するかもしれません。そこで、有価証券報告書などの決算資料で、投資家たちに倒産リスクを知らせるために、注記を書くルールになっています。
このページでは、「継続企業の前提に関する注記」を「GC注記」と書いて説明していきます。
継続企業の前提に関する注記が付く会社
下の条件に当てはまると、事業を続けられない会社と判断され、GC注記が付きます。
具体的な例 | |
---|---|
財務指標関係 | ・売上高が急激に減る ・営業損失や営業CFのマイナスが続く ・債務超過 |
財務活動関係 | ・買掛金など営業債務の返済がむずかしくなる ・社債の償還がむずかしくなる ・新たに資金調達できなくなる |
営業活動関係 | ・仕入先からの信頼を失い、取引を続けてもらえなくなる ・事業を展開している市場や得意先を失う |
その他 | ・巨額な損害賠償金を負担しなければならない ・ブランドイメージの大幅な悪化 |
GC注記が付いた会社は、会社が今後も経営し続けられるように、問題を解決なければいけません。しかし、債務超過になっている会社、負債が多すぎる会社、増資の引当先が見つからない会社などは、問題を解決できずに倒産するリスクがあります。
また、倒産まではいかなくても、上場廃止基準に抵触してしまった場合、監理銘柄や整理銘柄に指定され、上場廃止になるかもしれません。いずれにせよ、GC注記が付いた銘柄には手を出さないほうが良いでしょう。
ただし、GC注記が付いている会社の中には、復活する会社もあります。例えば東芝(6502)は、原発事業の不正会計などによりGC注記が付いていました。その後、解決策を実行した結果、今後も経営し続けられると判断されたので、GC注記が解除されました。
後ほど詳しく説明しますが、東芝の株価は、GC注記が外れてから少しずつ上がってきています。GC注記銘柄に投資するのはリスクが高すぎるので、全くおすすめしませんが、中にはこういった事例もあります。
「継続企業の前提に関する重要事象等」とは?
「継続企業の前提に関する~」ではじまる注意書きは、このページで扱っている「GC注記(継続企業の前提に関する注記)」が有名です。このほかに、よく似た名前の「継続企業の前提に関する重要事象等」もあります。見分けるポイントは、「注記」か「重要事象等」です。この2つの違いを見ていきましょう。
意味 | |
---|---|
継続企業の前提に関する注記 (GC注記) |
倒産するかもしれない事案が発生したが、解決する目処が立っていない |
継続企業の前提に関する重要事象等 | 倒産するかもしれない事案が発生したが、解決する目処が立っている |
特に、赤太字の部分に注目です。GC注記は「解決する目処が立っていない」会社に対して付けられ、重要事象等は「解決する目処が立っている」会社に付けられます。つまり、GC注記が付いている会社のほうが倒産リスクが高く、投資するのは危険だと言えるのです。
「継続企業の前提に関する~」という文字を見たときは、それがGC注記なのか重要事象等なのか、ていねいにチェックしましょう。
継続企業の前提に関する注記の事例
原発事業などの不正会計が問題となっていた東芝(6502)は、2017年3月期第3四半期の決算短信や四半期報告書で、GC注記が付きました。下の画像は、東芝の2017年3月期第3四半期四半期報告書(PDF)に書かれたGC注記です。
(出典:東芝 2017年3月期第3四半期四半期報告書[PDF])
赤線部分のように、はっきりと「継続企業の前提に関する注記」と書かれています。GC注記が付いた理由をかんたんに整理すると、下のようになります。
- 原発事業で巨額の減損損失が発生し、純資産が大きく減った
- 銀行から借金の全額返済を求められる可能性が高まった
- 原発事業をおこなう子会社が経営破綻した
要するに、純資産が大きく減ったり、銀行に借金を返さないといけなくなったりした場合、会社を運営するのに必要なお金が足らなくなります。お金が足らなくなると、会社は倒産してしまいます。このように、会社の経営が続けられないと考えられたときに、GC注記が付けられるのです。
株価はどうなる?
GC注記が付いた場合、株価はどうなるのでしょうか?東芝(6502)の例を紹介します。
(出典:SBI証券)
東芝にGC注記が付くことが世の中に知られたのは、2017年2月14日でした。この日は東芝が2017年3月期第3四半期の決算を発表する日で、決算発表前に日本経済新聞朝刊で報道したのがきっかけです。報道を受けて、株価は前日比-4.5%となりました。
東芝の場合は、GC注記が付く前から経営が不安定で、株価が下がっていました。会社の経営状況がある程度株価に織り込まれていたため、GC注記が明らかになっても、ストップ安にはならなかったようです。基本的には、GC注記が付いた会社は倒産の危険性が高いので、投資家が株を手放して株価は下がっていきます。GC注記が付いたら、早めに売ったほうが良いでしょう。
ただし、東芝のように倒産の危機から復活する会社もあります。東芝の場合は、子会社の東芝メモリ(現、キオクシア)などを売って現金を手に入れたため、債務超過が解消しました。そのため、GC注記が外れて、上場を維持できたのです。
株価は少しずつ上がっているので、GC注記が付いたタイミングで投資をすれば、値上がり益を手に入れられました。しかし、GC注記が外れるかどうかを見分けるのはむずかしく、倒産のリスクが高いので、投資はおすすめしません。
継続企業の前提に関する注記の確認方法
証券会社のホームページで、GC注記が付いた銘柄を確認できます。今回は、SBI証券を例に、確認の方法を順番に見ていきましょう。
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SBI証券のページを開き、画面上にある『国内株式』をクリックします。
(出典:SBI証券)
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国内株式の画面が開きます。右下の部分に『国内株式現物 本日の注意銘柄』とあるので、こちらをクリックしてください。
(出典:SBI証券)
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注意銘柄の一覧ページです。画面左側にある『継続企業注記銘柄』をクリックすると、GC注記が付いた銘柄の一覧を確認できます。
(出典:SBI証券)
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「継続企業注記銘柄」の部分は、下の画像のようになっています。こちらが、GC注記が付いた銘柄の一覧です。銘柄は、証券コードではなくGC注記が付いた日付順に並んでいます。最新の銘柄は、一覧表の下に書いてあります。
(出典:SBI証券)
以上、SBI証券でGC注記が付いた銘柄を探す方法を紹介しました。SBI証券のトップページから、かんたんに確認できます。ぜひご活用ください。
まとめ
GC注記の意味や条件、事例などを紹介してきました。GC注記が付いた場合、その会社は倒産の危険性が大きくなっています。倒産すると株価の価値はゼロになってしまうので、できるだけ早く売ったほうが良いでしょう。
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