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継続企業の前提に関する注記(疑義注記・GC注記)とは?意味をわかりやすく解説します

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2023年11月30日

継続企業の前提に関する注記(けいぞくきぎょうのぜんていにかんするちゅうき)」とは、倒産するリスクが高まっている会社に付けられる注意書きです。かなり長い名前なので、省略して「疑義注記(ぎぎちゅうき)」や「GC注記※1」とも呼ばれています。

※1 GC注記の「GC」とは、Going Concern(ゴーイング・コンサーン)の頭文字を取ったものです。“会社は将来にわたって事業を継続するものだ”という意味の英語です。

正式名称に入っている「継続企業の前提」とは、“会社は将来にわたって事業を継続するものだ”という前提を指します。この前提が崩れると、会社が倒産するかもしれません。そこで、有価証券報告書などの決算資料で、投資家たちに倒産リスクを知らせるために、注記を書くルールになっています。

このページでは、「継続企業の前提に関する注記」を「GC注記」と書いて説明していきます。

継続企業の前提に関する注記が付く会社

下の条件に当てはまると、事業を続けられない会社と判断され、GC注記が付きます。

GC注記が付く条件
具体的な例
財務指標関係 ・売上高が急激に減る
・営業損失や営業CFのマイナスが続く
債務超過
財務活動関係 買掛金など営業債務の返済がむずかしくなる
・社債の償還がむずかしくなる
・新たに資金調達できなくなる
営業活動関係 ・仕入先からの信頼を失い、取引を続けてもらえなくなる
・事業を展開している市場や得意先を失う
その他 ・巨額な損害賠償金を負担しなければならない
・ブランドイメージの大幅な悪化

GC注記が付いた会社は、会社が今後も経営し続けられるように、問題を解決なければいけません。しかし、債務超過になっている会社負債が多すぎる会社増資の引当先が見つからない会社などは、問題を解決できずに倒産するリスクがあります。

また、倒産まではいかなくても、上場廃止基準に抵触してしまった場合、監理銘柄整理銘柄に指定され、上場廃止になるかもしれません。いずれにせよ、GC注記が付いた銘柄には手を出さないほうが良いでしょう。

ただし、GC注記が付いている会社の中には、復活する会社もあります。例えば東芝(6502)は、原発事業の不正会計などによりGC注記が付いていました。その後、解決策を実行した結果、今後も経営し続けられると判断されたので、GC注記が解除されました。

後ほど詳しく説明しますが、東芝の株価は、GC注記が外れてから少しずつ上がってきています。GC注記銘柄に投資するのはリスクが高すぎるので、全くおすすめしませんが、中にはこういった事例もあります。

「継続企業の前提に関する重要事象等」とは?

「継続企業の前提に関する~」ではじまる注意書きは、このページで扱っている「GC注記(継続企業の前提に関する注記)」が有名です。このほかに、よく似た名前の「継続企業の前提に関する重要事象等」もあります。見分けるポイントは、「注記」か「重要事象等」です。この2つの違いを見ていきましょう。

意味
継続企業の前提に関する注記
(GC注記)
倒産するかもしれない事案が発生したが、解決する目処が立っていない
継続企業の前提に関する重要事象等 倒産するかもしれない事案が発生したが、解決する目処が立っている

特に、赤太字の部分に注目です。GC注記は「解決する目処が立っていない」会社に対して付けられ、重要事象等は「解決する目処が立っている」会社に付けられます。つまり、GC注記が付いている会社のほうが倒産リスクが高く、投資するのは危険だと言えるのです。

「継続企業の前提に関する~」という文字を見たときは、それがGC注記なのか重要事象等なのか、ていねいにチェックしましょう。

継続企業の前提に関する注記の事例

原発事業などの不正会計が問題となっていた東芝(6502)は、2017年3月期第3四半期の決算短信や四半期報告書で、GC注記が付きました。下の画像は、東芝の2017年3月期第3四半期四半期報告書(PDF)に書かれたGC注記です。

赤線部分のように、はっきりと「継続企業の前提に関する注記」と書かれています。GC注記が付いた理由をかんたんに整理すると、下のようになります。

  • 原発事業で巨額の減損損失が発生し、純資産が大きく減った
  • 銀行から借金の全額返済を求められる可能性が高まった
  • 原発事業をおこなう子会社が経営破綻した

要するに、純資産が大きく減ったり、銀行に借金を返さないといけなくなったりした場合、会社を運営するのに必要なお金が足らなくなります。お金が足らなくなると、会社は倒産してしまいます。このように、会社の経営が続けられないと考えられたときに、GC注記が付けられるのです。

株価はどうなる?

GC注記が付いた場合、株価はどうなるのでしょうか?東芝(6502)の例を紹介します。

東芝(6502)の株価推移

(出典:SBI証券

東芝にGC注記が付くことが世の中に知られたのは、2017年2月14日でした。この日は東芝が2017年3月期第3四半期の決算を発表する日で、決算発表前に日本経済新聞朝刊で報道したのがきっかけです。報道を受けて、株価は前日比-4.5%となりました。

東芝の場合は、GC注記が付く前から経営が不安定で、株価が下がっていました。会社の経営状況がある程度株価に織り込まれていたため、GC注記が明らかになっても、ストップ安にはならなかったようです。基本的には、GC注記が付いた会社は倒産の危険性が高いので、投資家が株を手放して株価は下がっていきます。GC注記が付いたら、早めに売ったほうが良いでしょう。

ただし、東芝のように倒産の危機から復活する会社もあります。東芝の場合は、子会社の東芝メモリ(現、キオクシア)などを売って現金を手に入れたため、債務超過が解消しました。そのため、GC注記が外れて、上場を維持できたのです。

株価は少しずつ上がっているので、GC注記が付いたタイミングで投資をすれば、値上がり益を手に入れられました。しかし、GC注記が外れるかどうかを見分けるのはむずかしく、倒産のリスクが高いので、投資はおすすめしません。

継続企業の前提に関する注記の確認方法

証券会社のホームページで、GC注記が付いた銘柄を確認できます。今回は、SBI証券を例に、確認の方法を順番に見ていきましょう。

  1. SBI証券のページを開き、画面上にある『国内株式』をクリックします。

    SBI証券のトップ画面

    (出典:SBI証券

  2. 国内株式の画面が開きます。右下の部分に『国内株式現物 本日の注意銘柄』とあるので、こちらをクリックしてください。

    『国内株式現物 本日の注意銘柄』をクリック

    (出典:SBI証券

  3. 注意銘柄の一覧ページです。画面左側にある『継続企業注記銘柄』をクリックすると、GC注記が付いた銘柄の一覧を確認できます。

    注意銘柄の一覧ページ

    (出典:SBI証券

  4. 「継続企業注記銘柄」の部分は、下の画像のようになっています。こちらが、GC注記が付いた銘柄の一覧です。銘柄は、証券コードではなくGC注記が付いた日付順に並んでいます。最新の銘柄は、一覧表の下に書いてあります。

    SBI証券のトップ画面

    (出典:SBI証券

以上、SBI証券でGC注記が付いた銘柄を探す方法を紹介しました。SBI証券のトップページから、かんたんに確認できます。ぜひご活用ください。

まとめ

GC注記の意味や条件、事例などを紹介してきました。GC注記が付いた場合、その会社は倒産の危険性が大きくなっています。倒産すると株価の価値はゼロになってしまうので、できるだけ早く売ったほうが良いでしょう。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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