売り禁とは何ですか?
信用取引を使って空売り(信用売り)をしていますが、今日から「売り禁」となってしまいました。今後の株価変動をどう考えたらよいのでしょうか?
まず、売り禁とは、正式には「貸借取引の申込停止措置」のことで、これが発表されると、新規の空売りはできなくなってしまいます。売り禁になってしまう理由は、空売りが殺到して、売り長(信用買いよりも空売りの株数が多くなる)となり、今後の貸株用の株の調達が困難になるからです。
<売り長の例>
(出典:SBI証券)
相場の格言に、「①売り禁に買いなし」や「②売り禁は金の玉」があります。これはどちらも同じようなことを意味しています。「①売り禁に買いなし」は、売り禁になるくらい売りが殺到している株は、「業績が悪かったり、かなり割高になっていたりと、投資妙味がない株だから、買うことはやめておきなさい」と言う意味です。「②売り禁は金の玉」は、売り禁と言う言葉どおり、これから空売り注文は出せないので、「今の売り玉はプラチナチケットで貴重なものだよ」と言う意味です。
しかし、売り禁の状態になると、今後、空売りができない状態になるばかりか、空売り分の買い戻し注文(返済)も出てくるので、一時的には買い圧力が強くなりやすいのも事実です。実際に、売り禁となった後に急騰した銘柄があるので、その恐ろしさを見てみましょう。
(出典:SBI証券)
これは、クボテック(7709)という会社で、売り禁後に強烈な踏み上げが起きてしまいました。2015年4月16日、株価410円のときに売り禁が発表され、そこからストップ高を連発して、あっという間に1,665円まで株価が急騰しました。この間はわずか2週間ほどでの出来事です。
短期間で株価が4倍まで上がってしまったので、当然、空売りをしていた人は、みんな焼かれてしまいました(大損をしたという意味です)。計算すると、1株につき1255円の借金となってしまいました…。100株で約12.5万円、1000株でなんと125万円の借金です。恐ろしいですねぇ~。
このように、業績から見て買えないような銘柄でも、売り禁になったから…と、仕手筋が入ってきて急騰することはめずらしくありません。保有銘柄が売り禁になったときには、株価が不穏な動きをしていないか、こまめにチェックしておく必要があります。思わぬ急騰をしてしまった場合には、早めの撤退も視野に入れておきましょう。
最後に、このような格言をご用意しました。
「買いは家まで、売りは命まで」
これは、信用取引を使っての買い建ては、株価は1円までしか下がりようがないので、失敗しても家を手放すぐらいで済むが(それでも大打撃ですが…)、売り建て(空売り)は、急騰して損失がでると、「株価上昇は天井がないため、どこまでも上がり、命まで取られてしまうくらい損が大きくなる」という意味です。くれぐれも気をつけましょう!
サイト内の参考ページ
この質問を見た人は、こちらも読んでいます
お悩みをキーワードで検索する
お悩み検索
他のお悩みを検索できます
投資歴18年目の株初心者アドバイザーです。2005年からの投資成績は+2億円を突破しました!2009年に発売した著書『はじめての株1年生 新・儲かるしくみ損する理由がわかる本』は、累計59,000部のロングセラー。その他、数多くの金融系メディアにも寄稿しています。