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高配当株はおすすめしない?買ってはいけない危険な高配当株の特徴を解説

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2023年11月30日

インターネット上で高配当株を調べていると、「おすすめしない」や「買ってはいけない」、「やめとけ」といった意見を目にします。高配当株に興味を持っている方の中には、このような意見を目にして投資をためらったという方も多いのではないでしょうか。

実際のところ、高配当株に投資しないほうが良い方がいらっしゃいますし、買ってはいけない危険な高配当株が存在します。逆に言うと、「高配当株への投資が向いている方」がいらっしゃいますし、「買っても大丈夫な高配当株」があります。

この記事では、高配当株を「おすすめしない理由」と「買ってはいけない条件」の2点について、株初心者向けにわかりやすく解説していきます。高配当株を正しく理解し、うまく活用できると良いですね。

「高配当株はおすすめしない」と言われる理由は?

まずは、おすすめしない理由として挙げられるものを、3つご紹介します。

①減配や無配になり、株価が下がるリスクがある

高配当株の魅力は、やはり「配当利回りの高さ」です。そのため、業績見通しが悪化するなどの理由で「減配」や「無配」になると、失望売りで株価が下がってしまいます。狙っていた配当金を受け取れないどころか、株価の値下がりで損失が発生するため、おすすめしない理由として説明されることが多いです。

では、減配や無配によって株価はどう動くのでしょうか。実際に、業績の見通しが悪化し、減配を発表した住友商事(8053)の株価の動きを見てみましょう。

住友商事(8053)の株価推移(直近3か月)>

住友商事の株価推移

(出典:SBI証券

同社は、2022年5月10日に2022年3月期決算短信を発表しました。その中で2023年3月期の連結純利益が前期比▲20%となる見通しを発表、さらに年間配当計画を前期比▲20円の90円としたことで、株価が急落しました。

このように、業績見通しが悪化して減配や無配になると、株価が下落します。しかし、後ほど紹介する買ってはいけない高配当株の条件」に当てはまらない銘柄に投資すれば、株価の下落による損失を避けられます。避けられないリスクではないので、上手に向き合いたいですね。

②資産規模が大きくないと、配当金のみで生活することはむずかしい

ネットやSNSでは、配当金収入で優雅に暮らす様子を紹介する人がいます。不労所得で楽しく暮らせるとあって、憧れの的となっていますね。しかし、配当金収入で生活するためには資産規模が大きくなければいけません。どれくらいの資産が必要なのか、グループサイト「やさしい投資信託のはじめ方」で試算したデータがあるので紹介します。

毎月10万円の配当収入を得るための必要資金
銘柄名 配当利回り※1 必要資金
三井住友フィナンシャルグループ(8316) 5.40% 2,789万円
日本郵政(6178) 5.28% 2,853万円
三菱商事(8058) 3.75% 4,016万円
バンガード・米国高配当株式 ETF(VYM) 3.19% 4,721万円
バンガード・S&P500 ETF(VOO) 1.52% 9,908万円

※1 2022年8月時点の配当利回りです。

このように、高配当株だけで毎月10万円を得るためには、数千万円以上の資金が必要になるのです。毎月10万円では生活が苦しそうなので、毎月20万円必要と考えると、上の表の2倍以上の資金がないといけません。

今回の試算は、配当金生活になぜ失敗する?【月10万円もらうにはいくら必要?】(グループサイト、やさしい投資信託のはじめ方に飛びます)で詳しく説明しているので、気になった方はこちらもご覧ください。

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③高配当株のみでは資産形成がむずかしい

高配当株に分類される会社は、建設業や不動産業といった成熟産業の会社が多く株価の値上がりはゆるやかです。したがって、「これから株式投資で資産を増やしていこう」と考えている方には向いていません。このような方は、成長性のある中小型株などを選んで投資するのが望ましいでしょう。

見方を変えれば、株価が安定しているため、資産規模の大きい方が投資するのに向いています。資産規模によって向き不向きが変わるので、注意しましょう。

以上が、「高配当株はおすすめしない」と言われる理由になります。

買ってはいけない危険な高配当株の条件

続いて、買ってはいけない危険な高配当株の条件を紹介します。次の条件に当てはまる場合、株価の下落により含み損が発生したり、将来的に減配や無配になったりするリスクがあります。配当利回りが高くても、買うのを避けたほうが良いでしょう。

それぞれの理由と調べ方を説明しますね。今回、買ってはいけない高配当株に当てはまるかどうかは、マネックス証券銘柄スカウターを使って調べていきます。

①配当利回りが異常に高い

配当利回りが異常に高い場合、その会社の業績が悪化している可能性があるので避けた方が良いでしょう。この場合の判定は、配当が安定している銘柄(ガス会社など)の配当利回りと比べておこないます。ざっくりと目安をお伝えすると、ガス会社は配当利回り2~3%程度なので、それよりも大幅に高い配当利回り7%を超えるような場合は注意が必要です。

それでは、業績が悪化していると配当利回りが高くなる仕組みを、配当利回りの計算式を使って説明しますね。

配当利回りの計算式

配当利回り(%)=1株あたりの配当(年間)÷株価×100

上の式からわかるとおり、配当利回りは1株あたりの配当を株価で割って計算します。つまり、配当利回りが高くなるためには、1株あたりの配当が増えるか、株価が下がるかしなければいけません。

配当が増える場合は良いのですが、株価が下がっているときは注意しましょう。なぜなら、株価が下がっている原因のひとつに、「経営状態の悪化」があるからです。このような会社に投資してしまうと、株価がどんどん下がっていき、損失を抱えてしまいます

また、業績の悪化によって配当を出せなくなり、減配や無配になるリスクもあります。高配当株に投資したのに、配当は減り、株価の下落で含み損を抱えてしまっては、元も子もありませんよね。配当利回りが異常に高い場合は、その原因を調べてから投資しましょう。

最後に、配当利回りの調べ方を紹介します。配当利回りは、銘柄スカウターの銘柄個別ページの上部で確認できます。今回調べるのは、住友商事(8053)の配当利回りです。

住友商事の配当利回り

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

住友商事は、配当利回り4.82%です。ガス会社の配当利回りが2~3%なので、それに比べれば高い水準です。しかし、先ほどの大塚家具のように7%を超えるような高さではないので、安心して投資できる高配当株と言えそうです。

②営業利益や経常利益が減少している

営業利益や経常利益が減少している会社は、経営に問題を抱えている場合があるので要注意です。①配当利回りが異常に高い場合と同じで、経営に問題があり業績が悪化している銘柄に投資してしまうと、株価の下落によって損失を抱えるかもしれません。この条件に当てはまった場合は、避けたほうが良いでしょう。

なお、配当の原資となる純利益ではなく、あえて営業利益と経常利益に注目する理由は、純利益が単発で臨時の出来事(土地の売却益や火災による損失など)によって金額が増減してしまうからです。そのため、臨時の出来事の影響を受けない営業利益(本業の儲けを表す利益)と、経常利益(本業と副業を合わせた会社全体の儲けを表す利益)に注目するのがおすすめです。

営業利益や経常利益は、銘柄スカウターの「企業分析」タブで確認できます。

企業分析タブ

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

ページを下にスクロールすると、「通期業績推移」という項目があり、そちらで営業利益と経常利益のグラフを確認できます。デフォルトでは売上高と営業利益が表示されているので、グラフ右側にある売上高のチェックボックスを外し、代わりに経常利益のチェックボックスをクリックしてください。

住友商事の営業利益と経常利益

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

住友商事は、2017年以降営業利益が表示されていませんが、これは会計基準による影響です。そのため、経常利益を追いかける必要があります。経常利益は、でこぼこと上下に動いており、安定的な右肩上がりではありません。2021年には赤字になっており、業績は不安定と言えるでしょう。

業績が不安定な会社は、将来的に減配や無配となる可能性があるため、注意が必要です。実際、住友商事も2023年の配当は前年比で減少する見込みとなっています。

③配当性向100%以上

配当性向100%以上の会社は、配当を無理して出している可能性があります。この場合、将来にわたって配当を維持するのはむずかしいため、減配や無配となるリスクがあります。

それでは、「配当を無理して出している状態」とはどういう状態でしょうか。配当性向の計算式を使って考えていきましょう。

配当性向の計算式

配当性向(%)=1株あたりの配当÷1株あたりの利益×100

計算式から明らかなように、配当性向が100%を超えるのは、1株あたりの配当が1株あたりの利益を上回っているときです。考えられるケースは、次の2つがあります。

  1. 1株あたりの配当が増えた
  2. 業績悪化によって1株あたりの利益が減った

どちらの場合も、会社が稼いだ利益を超える金額を配当として出しています。会社のお金が流出している状態なので、この状態を維持するのはむずかしいでしょう

また、業績悪化によって1株あたりの利益が減っている場合要注意です。配当が減額やゼロになるだけでなく、株価が下がるリスクを抱えています。このような銘柄への投資は避けましょう。

配当性向を使って投資しても大丈夫そうな高配当銘柄を選ぶときは、「配当性向50%以下」が目安となります。理由は、業績が悪化したときでも、すぐに減配や無配になるリスクが低いからです。

例えば、1株あたり配当が90円、1株あたり利益が100円で配当性向90%の会社に投資したとしましょう。利益が減らなければ、1株あたり90円の配当を維持できます。しかし、業績悪化で利益が10%減って90円になると、配当性向100%となり継続が怪しくなります。

1株あたり配当 1株あたり利益 配当性向 配当の継続性
減益前 90円 100円 90% 何とか継続可能
減益後 90円 90円 100% 継続が困難

最近だと、新型コロナウイルスが感染拡大したときに、企業の業績が悪化しました。特に、航空会社やホテル運営会社、飲食店は、利益が10%減るどころか赤字になってしまいました。

不測の事態が起きて、気づいたら配当が減っていた…というのは避けたいものです。したがって、ある程度の利益の減少に耐えられる銘柄を選ぶため、余裕を持たせて配当性向50%以下としています。

高配当株に多く含まれる、成熟企業の利益が半分に減ってしまうケースはまれです。よほどのことがない限り、投資後に放置しても安定して配当を得られるでしょう。

最後に、配当性向の調べ方を見ていきましょう。配当性向は、銘柄スカウターの「配当」タブで確認できます。

住友商事の配当性向

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

住友商事は、配当性向29.7%となっています。目安となる50%以下に収まっているため、無理をして配当を出しているわけではなさそうです。

④急に配当額が増えている

配当金が増えるケースとして、次の2つがあります。

  1. 増配が発表された
  2. 「特別配当」や「記念配当」が発表された

1つ目の増配について説明します。増配は一見すると良いことのように見えますが、「良い増配」と「悪い増配」があります。

良い増配」は、業績が良い会社が、株主に利益を還元するためにおこなうものです。一方の「悪い増配」は、業績が悪いのに配当を増やすものです。買ってはいけない高配当株の例「大塚家具」で説明しているように、このような戦略を取ってしまうと、手元の現金が流出し、経営が苦しくなってしまいます。業績が悪化していないか、必ずセットで確認しましょう。

2つ目の「特別配当」や「記念配当」にも注意が必要です。上場から10年目など節目の年に、記念配当や特別配当を出す会社があります。投資家からするとうれしいことですが、記念配当や特別配当は1度きりのものです。翌年になると、記念配当や特別配当はなくなり、基本的には元の配当水準に落ち着きます。

しかし、配当利回りは記念配当や特別配当を含めた数値で計算されます。この一度きりの記念配当や特別配当によって、配当利回りが一時的に高く見えているのです。

このような銘柄に対して、「配当利回りが高いから」という理由で投資してしまうと、翌年以降に期待した配当を受け取れなくなってしまいます。高配当株を見つけたら、記念配当や特別配当で一時的に高くなっていないか、確認しましょう。

最後に、配当額の確認方法を紹介します。配当性向と同じく、銘柄スカウターの「配当」タブから確認できます。

住友商事の配当額の推移

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

住友商事は、2020年までは増配を続けていましたが、2021年に減配となりました。そして、2023年も減配予想が出ており、配当額はあまり安定していません。これは、商社の業績が市況に左右されることが原因と考えられます。2020年までのように、配当額が右肩上がりになっていれば、減配や無配になりにくいため、安心して投資ができるでしょう。

以上、買ってはいけない高配当株の条件と、銘柄スカウターを使ったチェック方法を紹介しました。銘柄スカウターは、企業分析に必要な情報がまとまった、とんでもないツールです。マネックス証券に口座開設するだけで、誰でも無料で使えます。詳しい使い方は、マネックス証券の「銘柄スカウター」を使うには?おすすめの使い方を紹介【完全攻略マニュアル無料プレゼント中】をご覧ください。

買っても大丈夫な高配当株の条件

買っても大丈夫な高配当株の条件は、基本的に買ってはいけない高配当株の条件と反対の条件ですが、減配や無配になるリスクを避けるために追加の条件もあります。

  1. 配当利回り3~6%程度である
  2. 売上高や利益が減少していない
  3. 配当性向50%以下である
  4. 減配していない
  5. 時価総額1,000億円以上である
  6. 自己資本比率30%以上である
  7. ROE10%以上である

これらの条件については、下記記事で深掘りしています。おすすめのスクリーニングツールも紹介しているので、ぜひ合わせて参考にしてください。

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まとめ

「高配当株をおすすめしない理由」と「買ってはいけない高配当株の条件」、また「買っても大丈夫な高配当株の条件」について解説してきました。

高配当株への投資を考えている方は、「買っても大丈夫な高配当株の条件」に当てはまる銘柄を探しましょう。また、すでに高配当株を持っている方は、保有株が「買ってはいけない高配当株の条件」に当てはまっていないかを確認するのがおすすめです。

注意

記載されている内容は、当サイト編集部の見解なので、結果を保証するものではありません。いかなる不利益が生じた際にも当サイトは一切の責任を負いませんので、すべてにおける最終判断はご自身でおこなってください。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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