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潰れそうな証券会社はある?潰れる理由や、過去に潰れた証券会社一覧も紹介
株式投資をしていると、「証券会社が潰れるとどうなるの?」、「潰れそうな証券会社はあるの?」などと頭をよぎることがあります。大手三社の野村證券・SMBC日興証券・大和証券や、ネット証券二強と言われるSBI証券・楽天証券など、潰れてしまうイメージはあまり湧きませんよね。
しかし1997年には、当時四大証券のひとつと言われた「山一證券」や、準大手証券の一角であった「三洋証券」など、当時は誰もが潰れると思わなかった証券会社が、ある日突然潰れました。山一證券の社員は「自分の会社が潰れる」という事実を、テレビで流れていた記者会見ではじめて知ったほど、突然の出来事だったのです。
では、証券会社は一体どんな理由で潰れてしまうのでしょうか。
この記事では、潰れそうな証券会社はあるのか、証券会社が潰れる理由、過去に潰れた証券会社などを紹介していきます。また、これから株式投資をはじめる方向けに、証券会社の選び方も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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証券会社が潰れる理由とは?
証券会社が潰れる、もしくは消滅する理由は、主に次の2つが考えられます。
それぞれかんたんに解説します。
① 経営破綻による倒産・自主廃業
あらゆる会社は経営破綻すれば、潰れます。証券会社が経営難に陥る理由はさまざまですが、1997年に倒産した山一證券・三洋証券は、バブル崩壊の影響を受けたことによる経営悪化により倒産しました。
また、山一證券は経営悪化だけでなく、発生した損失を意図的に隠す「不正会計」も発覚。自主廃業をして、その後解散しました。山一證券が倒産するまでの顛末は、「しんがり 山一證券 最後の12人」というノンフィクション小説で詳しく語られています。

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2015年にはドラマ化もされ、演技派俳優が多数出演しており見ごたえ抜群です。ドラマは「U-NEXT」で見放題の対象になっています(2022年5月現在)。興味がある方はぜひチェックしてみてください。
山一證券・三洋証券の倒産は「バブル崩壊」が引き金となりましたが、こうした歴史的な大暴落は、多くの場合は予想できません。今は安泰と思われている証券会社であっても、突如訪れる未曾有の経済危機によって、潰れてしまう可能性はゼロではないでしょう。
② 吸収合併による消滅
「潰れる」とは少し違いますが、証券会社はM&Aで吸収合併されることで消滅することもあります。
M&Aでほかの証券会社を吸収することで、経営難を乗り越えたり、規模を大きくして営業力を強化したり、自社にないノウハウを吸収したりできるので、経営戦略のひとつとして実施されるのです。
例えば、東海東京フィナンシャルホールディングスが、老舗証券だった高木証券を2017年に子会社化し、2019年には吸収合併した例では、「高木証券が築き上げた関西地方の営業基盤を活かすこと」が主な目的でした。
証券会社が吸収合併により消滅したとしても、預けている資産は担保されますし、利用するサービスは合併により向上する場合が多いので、個人投資家としては大きなデメリットはないでしょう。
過去に潰れた・消滅した証券会社一覧
過去に潰れた証券会社を、いくつか一覧でご紹介するので参考にしてください。廃業した証券会社だけでなく、吸収合併されて消滅した証券会社も含めてご紹介します。
潰れた年 | 証券会社 | 潰れた理由 |
---|---|---|
2002年 | キングコモディティ証券 | 萬成プライムキャピタル証券株式会社と被合併し消滅 |
2009年 | ジョインベスト証券 | 野村證券に吸収合併して消滅 |
2010年 | オリエント証券 | 自主廃業 |
2010年 | オリックス証券 | マネックス証券と合併して消滅 |
2010年 | ソニーバンク証券 | マネックス証券に吸収合併されて消滅 |
2012年 | 赤木屋証券 | 証券業から撤退 |
2012年 | 十字屋証券 | 自主廃業 |
2013年 | みずほインベスターズ証券 | みずほ証券に吸収合併されて消滅 |
2014年 | かざか証券 | 内藤証券に吸収合併されて消滅 |
2017年 | アイティーエム証券 | 2012年、社長の年金資産消失事件の発覚をきっかけに金融庁から証券会社としての登録取り消し処分を受け、2013年に破産手続き開始の決定を受ける。2017年に法人格が消滅 |
2017年 | ウツミ屋証券 | 広島銀行にすべての株式を売却して消滅 |
2018年 | SMBCフレンド証券 | SMBC日興証券に吸収合併されて消滅 |
2018年 | 日本アジア証券 | 藍澤證券に吸収合併されて消滅 |
2019年 | 高木証券 | 東海東京証券に吸収合併されて消滅 |
2022年 | エース証券 | 東海東京証券に吸収合併されて消滅 |
上記の証券会社がすべてではありませんが、これまで多くの証券会社が倒産したり、吸収されたりして消滅していることがわかります。
潰れそうな証券会社はある?もし潰れたらどうなる?
ここまで証券会社が潰れた理由や、過去に潰れた証券会社を紹介してきました。では、これから潰れそうな危ない証券会社はあるのでしょうか?
これについては、正直言ってわかりませんし、あまり考える意味もないかと思っています。なぜなら、証券会社が潰れたとしても、証券会社に預けている資産は全額返還されるからです。
金融商品取引法の第四十三条の二(分別管理)により、「顧客から預かっている資産と、証券会社自身が持っている資産は区別して管理しなければいけない」と定められており、預けている資産の安全は法律で保証されています。
実際に大手ネット証券であるSBI証券の公式サイトにも、次のように記載されているので、確認してみましょう。
お客さまにお預けいただいておりますご資産(有価証券やお金)は、当社が保有する資産(有価証券やお金)と、金融商品取引法に基づき、明確に分けて管理しております(分別管理)。したがって、万が一、当社が破綻したとしましても、お客さまからお預りしているご資産は確実に返還されます。
出典:SBI証券が破綻したら総合口座の資産はどうなりますか?(分別管理・投資者保護基金)
分別管理は、SBI証券などの大手証券会社だけでなく、すべての証券会社が遵守しなければならない法律です。そのため、潰れそうな証券会社についてあれこれ考える必要はありません。自分にとって、必要なサービス・機能が豊富に揃っている証券会社を選びましょう。
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証券会社の資産が1,000万円以上になったら口座を分けるべき?
証券会社に預けている資産は、「分別管理されているので上限なく全額補償される」と紹介しましたが、上限1,000万円までしか補償されないケースもあります。
それは、分別管理をしていない証券会社が潰れた場合です。
分別管理は、すべての証券会社が当然に果たさなければならない義務であり、分別管理をしていない証券会社には「分別管理義務違反」として罰則が規定されています。
分別管理義務違反の罰則
- 法人:6か月以内の業務停止等の行政処分、3億円以下の罰金
- 代表者、従業員等:2年以下の懲役又は300万円以下の罰金または併科
実際に「日本クラウド証券」という証券会社が、2015年に分別管理義務違反の発覚により、3か月の業務停止命令を受けています。もし、このような分別管理をしていない証券会社が潰れてしまい、投資家に返す資産が残っていない場合は、自分の資産が戻ってこないかもしれません。
万が一、潰れた証券会社に預けていた資産が戻ってこなかった場合、「日本投資者保護基金制度」により、投資家ひとりあたり上限1,000万円までが補償されます。
私たち、日本投資者保護基金(以下「当基金」といいます。)は、万が一、何らかの事情で証券会社が破綻し、分別管理の義務に違反したことによって、お客さまの資産の返還が円滑に行われない場合には、返還できないお客さまの資産について、当基金がお客さま一人当たり上限1,000万円まで補償を行います。
出典:日本投資者保護基金
したがって、証券会社に預けている資産が1,000万円以上になったら証券口座を分けるのは、リスクヘッジとして有効と言えます。証券会社を一本化するのではなく、複数の証券口座を持っておくと安心です。
ただし、資産によっては「日本投資者保護基金制度」で保護されない場合もあるので、注意してください。
証券会社の格付け一覧を一部紹介
「JCR(日本格付研究所)」という会社が、上場企業の「信用格付」をおこなっています。JCRは、1985年に設立された歴史ある格付け会社です。上場企業の信用状態を把握できるサービスを展開しています。
格付けの評価はAAA~Dに分かれており、AAAに近いほど信用度が高く、Dに近いほど信用度が低いです。「借金を返せる経営体制にあるか?」という観点で、さまざまな角度から信用状態がチェックされ、格付けがされています。
定義内で登場する「債務不履行」とは、債権者に破産、会社更生、民事再生、特別清算といった法的手続きが取られたり、「借金の返済が不可能」と判断されたりすることを指します。
ではここで、証券会社がどのような格付けがされているのか確認してみましょう。格付けの評価が高い順にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
格付けの評価 | 証券会社 |
---|---|
AA | SMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券 |
AA- | auカブコム証券 |
A+ | 大和証券 |
A | SBI証券 |
A- | 楽天証券 |
BBB+ | マネックス証券、岡三証券 |
(2023年9月現在)
このように、歴史ある対面型の証券会社のほうが高い評価で格付けされている傾向にあります。ここで注意したいのは、必ずしも格付け評価が高い証券会社を選ぶべきではないことです。
なぜなら、証券会社のサービス・機能などのスペックは、JCRの格付けにおいて直接関係ないからです。そのため、評価が高いからといって、サービス・機能も優れているわけではありません。
一例として、AA評価のみずほ証券とBBB+評価のマネックス証券で、証券会社選びにおいて重要な「売買手数料」を比較してみます。
証券会社 | 約定金額100万円の売買手数料(税込) |
---|---|
みずほ証券 | 3,465円 |
マネックス証券 | 535円 |
(2023年9月現在)
このように、格付け評価が低いマネックス証券のほうが、かなり安い手数料に設定されています。
「潰れる可能性の低さ」だけを重視するなら、JCRの格付けを参考にしてもいいでしょう。しかし、分別管理で資産が補償されているので、「潰れる可能性」はあまり考慮する必要はありません。
そのため、ご自身が必要とする機能や、魅力に感じるサービスが揃っている証券会社選ぶことをおすすめします。
証券会社は機能・サービスで選ぶのがおすすめ
証券会社は、自分にとって必要なサービス・機能が豊富に揃っている証券会社を選びましょう。投資対象ごとに3社紹介するので、ぜひ参考にしてください。
証券会社 | 投資対象 | おすすめ理由 |
---|---|---|
SBI証券 レポート&2,500円 |
国内株 | ・1日100万円までの約定金額なら手数料無料 ・25歳以下も手数料無料 ・IPOの取扱数トップ(2021年は89社) ・銘柄分析ツール「分析の匠」が優秀 |
投資信託 | ・最低100円から投資できる ・投資信託を自動買付できる ・買付手数料が無料 ・クレカ積立ができる |
|
マネックス証券 レポート |
米国株 | ・為替手数料が無料 ・米国株・米国ETFの取扱数が5,000銘柄以上 ・米国株分析ツール「銘柄スカウター米国株」が優秀 |
それぞれの証券会社をかんたんにご紹介します。
【SBI証券】国内株・投資信託
SBI証券は、国内株や投資信託の取引におすすめの証券会社です。
国内株は、25歳以下の方や、1日100万円までの約定金額なら売買手数料が無料。また、銘柄分析ツール「分析の匠」を使えば、初心者でもかんたんに銘柄分析ができます。IPOの取扱数が89社(2021年)とネット証券の中で最多なのも、SBI証券の魅力です。
投資信託は、最低買付金額は100円で、購入手数料は無料。積立頻度は「毎日」、「毎週」、「毎月」、「複数日」、「隔月」から選べるので、自分好みの設定で積立投資ができます。一度設定すれば、自動買付してくれるので、注文忘れの心配もありません。
また、三井住友カード(NL)を使えばクレカ積立ができます。カードランクに応じて、積立金額の0.5%~2.0%がVポイントで還元されるので、普通に投信積立をするよりお得です。
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口座開設料・年会費などは一切かかりません。
まとめ
このコラムでは、証券会社が潰れる理由や、過去に潰れた証券会社、潰れてしまった場合にどうなるのかについてご紹介しました。証券会社に預けている資産は「分別管理」がされているので、万が一潰れてしまった場合でも全額補償されます。
そのため、潰れそうな証券会社がないか考える必要はありません。ご自身が必要とするサービス・機能を備えた証券会社を選びましょう。
ただし、分別管理をしていない「分別管理義務違反」をしている証券会社が潰れてしまった場合、上限1,000万円までしか補償されない可能性もあります。複数の証券会社で口座をつくり、資産を分けておくのもリスクヘッジのひとつです。
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