50代の投資初心者ですが、株をはじめるのはやめとけと言われました。もう遅いのでしょうか?
50代男性です。最近、老後資金を作るために株式投資の勉強をはじめたのですが、周りからは「もう遅いからやめとけ」と言われてしまいました。今から株式投資をはじめるのは遅いのでしょうか?それとも、少額からでもはじめてみるべきでしょうか?
結論から申し上げて、投資をはじめるのに遅いということはありません。
年齢によってリスクの取り方には、十分に気を付ける必要がありますが、これからの運用スタイルは投資を続けながら、一部を取り崩して生活するというのがスタンダードになっていくと思います。
“今”が一番早いので、これから投資をスタートすることには賛成です。
さて、50代からはじめる投資について考えていきます。定年のことを考えると働くことのできる期間は今から10年くらいですので、年齢的にあまり大きなリスクを取ってしまうと、損失を出したときに労働で取り戻すのはむずかしくなってしまいます。
よって、値動きの荒い投資先を選ぶのはNGです。金融商品はさまざまな種類がありますので、それぞれどう取り組んでいくとよいのか、見ていきましょう!
株式投資
株式投資の対象としては、値動きが比較的マイルドな「高配当株」や「株主優待株」をおすすめします。
キャピタルゲイン(値上がり益)を大きくとることはむずかしいかもしれませんが、インカムゲイン(配当)で着実に積み上げていくという運用方針です。
しかし、リスクが比較的低いからと言って、信用取引を使って、持っているお金以上の取引をするようなことはやめてください。リスクが跳ね上がってしまいます。
あと、全資産の中で株式投資が占める割合を、最大でも30%程度までにしておきましょう。リスクの高い商品なので、一時的に10%~20%くらいは含み損になってしまうこともあり得ます。
ですから、投資に慣れるまでは、ドカンとたくさん買うのではなく、お試し程度の買い付けをしながら徐々にならして増やしていくとよいでしょう。
国内株は、通常100株単位でしか取引できませんが、単元未満株(ミニ株)を取り扱っている証券会社なら1株から売買できます。配当金や一部の株主優待は、単元未満株の保有でも受け取れるので、株初心者にもおすすめです。
投資信託
投資信託は、基本的にはeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)というファンドが中心となります。
ファンド名のとおり、全世界の株式にまんべんなく投資され、しかも、コストが非常に安いので大変優秀なファンドです。
買い付けのタイミングは、長く運用の期間を取りたいので、一度にドカンと投資しても問題ありませんが、心情的に引っかかるようであれば、何回かに分けて投資してもよいかと思います。
また、すべて株式で組むというのが不安な方には、債券を組み込むことをおすすめします。個人向け国債が優秀な商品でイチ押しです。
証券会社が個人向け国債の購入額に応じてキャッシュバックするキャンペーンをおこなっていることも多いので、うまく利用して購入しましょう。
NISAやiDeCoはどうか?
先ほど紹介した、株式や投資信託は、一般的には特定口座を使って購入しますが、最近話題のNISAやiDeCoを利用して購入するとどうなのか検証してみます。
まず、NISAですが、2024年から“新NISA”がスタートしており、大変使い勝手がよくなりました。投資の非課税枠が大幅に増えて、毎年360万円の非課税投資枠が設定され、1,800万円までの生涯非課税枠が用意されています。
つまり、1800万円までの原資は新NISAを使って投資をすることにより、運用益や配当にかかる税金などが、まるまる非課税となります。
一方のiDeCoですが、新NISAと同じく運用益は非課税で、さらに、掛け金も所得控除になるため、バリバリ働く現役世代にはもってこいの制度です。
60歳で打ち切りなので、50代からの運用となると、最大でも10年と老後資金の形成としては、積み立ての金額的にも運用期間的にも、心もとないのが正直なところです。
使うにしても、新NISAとの併用をおすすめします。またiDeCoは加入先の金融機関での取り扱いのある投資信託しか買えないので、株式投資をiDeCoの口座でおこなうことはできません。
★50代からの投資は遅いということはなく、十分に投資をはじめられる期間が残っています。ただし、リスクの高すぎる運用は取り返しのつかないことになってしまう恐れがあるので、債券を組み込むなどリスクの取り方に気を付けていただきたいです。
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投資歴18年目の株初心者アドバイザーです。2005年からの投資成績は+2億円を突破しました!2009年に発売した著書『はじめての株1年生 新・儲かるしくみ損する理由がわかる本』は、累計59,000部のロングセラー。その他、数多くの金融系メディアにも寄稿しています。