信用取引のメリット・デメリットは何ですか?
信用取引に興味があるのですが、いまいち仕組みがわかりません。信用取引のメリット・デメリットを教えてください。
信用取引が現物取引(一般的な取引)と異なる点を、メリット・デメリットで3つずつ示しました。
信用取引のメリット
メリット
- 自己資金以上に投資ができる
- 株価下落時にも利益を出すチャンスがある(空売り)
- クロス取引で株主優待がお得に手に入る
①自己資金以上に投資ができる
現物取引では、100万円のお金を準備した場合、100万円の取引ができますが、信用取引では100万円のお金で約300万円(3倍)の投資ができます。これは、100万円を保証金として証券会社に預けて、いわば借金をして投資をすることができます。うまく運用ができれば、資産効率が格段にアップします。
(出典:SBI証券)
②株価下落時にも利益を出すチャンスがある(空売り)
現物取引では、株価上昇時しか利益を出すことができませんが、信用取引では「空売り(信用売り)」という手法で株価下落時にも利益を出すチャンスがあります。これは株価が高いときに証券会社から株を借りて売り、その後、株価が下がったときに株を買い戻して証券会社に返すと、その差額が利益になります。
(出典:SBI証券)
③クロス取引で株主優待がお得に手に入る
現物取引の買い注文で株主優待の権利を取りつつも、空売りを使って株価下落のリスクを抑えるという方法があります。なぜこのような方法を使うのかというと、株主優待の権利を得た次の営業日に、権利落ちと言って、株価が下落しやすい状態となります。せっかく株主優待をもらっても、株価下落で損をしてしまったら元も子もないので、空売りを使って損失を未然に防ごうというテクニックです。
※詳しくは、「クロス取引でお得に株主優待をゲット!」をご覧になってください。
一方、信用取引はメリットばかりではありません。デメリットもしっかりと押さえておきましょう!
信用取引のデメリット
デメリット
- 損失が大きくなる可能性がある
- コストが高くなりやすい
- 逆日歩(ぎゃくひぶ)が発生することもある
①損失が大きくなる可能性がある
自己資金以上に投資ができるということは、株価上昇したときはよいのですが、株価下落したときは大きな損失となります。
例えば、50万円の自己資金を使って投資をした場合、株価が50%下落したときには、25万円が手元に残りますが、信用取引で150万円投資をした場合は、75万円の損失となり、手元の50万円では足りないため、25万円(=50万円-75万円)が負債となってしまいます。これは“追証(おいしょう)”の状態なので、25万円を新たに準備して、証券口座に入金しなければなりません。
(出典:SMBC日興証券)
②コストが高くなりやすい
現物取引では、株の売買手数料だけで済みますが、信用取引の場合は追加でコストがかかります。
信用取引でも売買手数料は当然かかりますが、この他にも、信用買いのときにかかる「金利」(年利2%前後)、信用売りのときにかかる「貸株料」(年利1%前後)、名義書き換え料(100株あたり50円)、信用管理費(1か月以上建てると、100株につき100円)などがあります。簡単にまとめると、保有期間が長くなれば、その分コストも大きくなるというしくみです。
ただし、逆の見方をすれば、すぐに反対売買をして返済する場合には、証券会社によっては現物取引よりもコストが安くなることもあります。信用取引を始める際には、必ず手数料を比較しましょう。
※詳しくは、「信用取引向け証券会社の選び方」をご覧になってください。
③逆日歩(ぎゃくひぶ)が発生することもある
メリットの「③クロス取引で株主優待がお得に手に入る」で、クロス取引を推していますが、証券会社側から見て、投資家に貸す株券が足りなくなった場合は、逆日歩(ぎゃくひぶ)というコストが発生することがあります。
通常、「証券金融会社(日本証券金融など)」から株券の調達をおこないますが、それでも株不足の場合は、外部から調達することになります。この時に、調達が苦しいほど、大きなコストがかかってしまいます。ただし、一般信用取引という制度を使えば、逆日歩はかかりません。
※詳しくは、「逆日歩とは?(楽しい株主優待&配当)」をご覧になってください。
(出典:楽しい株主優待&配当)
以上のように、信用取引にはメリットもデメリットもありますが、使い手次第で便利な道具となります。しかし、初心者のうちは、慣れるまではまだ始めないほうがよいと思います。
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投資歴18年目の株初心者アドバイザーです。2005年からの投資成績は+2億円を突破しました!2009年に発売した著書『はじめての株1年生 新・儲かるしくみ損する理由がわかる本』は、累計59,000部のロングセラー。その他、数多くの金融系メディアにも寄稿しています。