企業分析方法

【米国株】Apple[アップル](AAPL)

[ 業種:通信機器 ]

  • 公開日:2020年8月20日

(2020年8月24日追記)
2020年8月21日、Appleの株価が上場来高値を更新しました。24日に控えた株式分割の基準日が意識されたようです。今回の株式分割では、1株を4株に分割するため、今よりも少額からAppleの株主になれます。今後Apple株の需要が高まると予想されるため、株価が上昇したと考えられます。

(2020年8月20日追記)
2020年8月19日、Appleの時価総額が初めて2兆ドル(日本円で約210兆円)を超えました。米国企業で時価総額が2兆ドルを超えるのは初めての事例です。Appleの時価総額が増加した背景には、コロナ禍でも安定した成長が見込める企業に、投資家の資金が集中したからだと考えられます。

iPhoneやMacbookなどのコンピュータを製造する、米国株のApple[アップル](AAPL)について、企業分析しました(Appleの公式ホームページ)。使ったツールは、マネックス証券の「銘柄スカウター米国株」です。(分析担当:にしけい)

Apple[アップル](AAPL)の注目ポイントは、以下の点です。

  • 製造業からサービス業への転換

さっそく、見ていきましょう!

注)分析方法や予測、結果などは管理人の個人的な見解です。
銘柄を推奨するものではございません。投資判断等は自己責任にてお願いいたします。

1.基礎情報

1-1.基礎情報

まずは、基礎情報の確認です!マネックス証券銘柄スカウター米国株を開くと、ページの上にまとまっています。

基礎情報

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

まずは、時価総額を確認しましょう。Appleの時価総額は約1.9兆ドルとなっており、1ドル=100円で日本円に直すと約190兆円となります。日本の時価総額ランキングトップのトヨタ自動車(7203)は約21.7兆円なので、トヨタの約8倍の大きさです。想像ができないほどの大企業ですね。

続いて、時価総額の右側にあるPERPBRを確認します。AppleのPERは34.5倍PBRは27.0倍です。米国株ではPER20倍、PBR3.5倍が平均値なので、かなり割高感があります。それだけ市場のAppleへの期待が高いことを意味します。

今度は、ROEROAを見ておきましょう。ROEは69.2%ROAは18.3%です。ここで、Appleと同じようにデバイス製造・販売とソフトウェア販売をおこなっているソニー(6758)と収益力を比較してみましょう。

Apple vs ソニー

ソニーも十分ROEが高いのですが、Appleはそれをはるかに上回る収益力を持っています。なぜこれほどまで収益力が高いのかは、後ほど確認していきます。

1-2.株価推移(最近6か月)

株価推移は、画面上にある「株価/チャート」をクリックすると確認できます。

株価推移(最近6か月)

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

株価の動きをざっくり確認しましょう。コロナショックの影響で2020年3月ごろに株価が下がりましたが、その後は株価が上昇しています。

8月になると株価がぐっと上昇していますが、これは7月30日に発表された決算が関係しています。この日に発表された決算では、新型コロナウイルス対策のためテレワークやオンライン教育が世界的に広がったため、iPadやMacの需要が大幅に伸びたと書かれていました。

もともと売上高が減ると予想されていたため、この内容は投資家にとってサプライズでした。そのため、株価が上昇したのです。

1-3.事業内容の要約

続いて、企業の概要をつかみましょう!企業概要は、先ほど確認した基礎情報の下にまとまっています。

企業情報

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

AppleはiPhoneやiPad、Macなどを開発・販売する会社です。デバイスの製造だけでなく、アプリ配信プラットフォーム『App Store』や、Apple MusicやApple TV+などのサブスクリプションサービスも展開しています。

後ほど詳しく説明しますが、自社で工場を持たず製造を外注する戦略サービス展開などにより高収益体質を実現しています。

また、企業概要の中で「iPhoneが売上高の大半を占める」と書かれています。実際に、セグメント構成を見てみましょう。

セグメント構成

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

右側の円グラフからわかるとおり、iPhoneが売上高の半分以上を占めていますね。つまり、iPhoneの売れ行き次第で業績が大きく変わる可能性があるのです。Appleに投資する際は、iPhoneが売れるかどうかが重要なポイントになると考えて良いでしょう。

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2.財務諸表分析

2-1.損益計算書

銘柄スカウター米国株では、損益計算書の推移を確認できます。画面上の「企業分析」をクリックすると、「通期業績推移」と「四半期業績推移」に載っています。さっそく、「通期業績推移」から見ていきましょう。

通期業績推移

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

青色の棒グラフが「売上高」を、赤色の折れ線グラフが「営業利益」を表しています。どちらも2010年ごろから急激に増えていき、2016年以降は伸びが鈍化していますね。新製品を次々生み出しているAppleが、なぜ最近は業績が伸び悩んでいるのでしょうか?その理由は、世界のスマートフォン出荷台数にあります。

下の画像は、調査会社Canalysがまとめた、2009年から2019年までの世界のスマートフォン出荷台数の推移です。

世界のスマートフォン出荷台数の推移

(出典:Canalys: Global smartphone market grew for first time in two years in Q3 2019

2010年ごろからスマートフォンの出荷台数が増え2016年以降は出荷台数が頭打ちになっています。先ほどのAppleの売上高の動きとかなり似ていますね。このことから、Appleは世界中にスマートフォンが普及するのに合わせて、業績を伸ばしてきた会社だと言えます。

では、これ以上Appleの成長は見込めないのでしょうか?私は、まだまだ成長余地があると考えています。なぜなら、既存のiPhoneユーザーがApp Storeでのアプリ購入や、Apple MusicやApple TV+などのサブスクリプションサービスを使う可能性があるからです。

サブスクリプションサービスには競合が多く存在していますが、Apple製品との相性が良い点に加え、新しくアプリを入れる必要がなく、iPhoneに元から入っているアプリでサブスクリプションサービスが受けられるのが魅力となっています。

これらを含むサービス部門の売上高は、これまでどのように推移してきたのでしょうか?セグメント業績の推移をチェックしましょう。

セグメント業績の推移

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

黒色の折れ線グラフが、“サービス部門”の売上高を表しています。2016年以降きれいに右肩上がりで増えていますね。iPhoneの出荷台数が増えるのに合わせてApp Storeでのアプリ購入はもちろん、Apple Musicなどのサービス利用が増えているのでしょう。

セグメント構成

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

そして、先ほど紹介したセグメント構成によると、iPhoneの売上高に次ぐ規模となっています。今後もiPhoneの新製品を定期的に販売して顧客をつなぎ留め、その顧客に対してサービスを提供して成長を目指していると考えられますね。

また、Apple Watchなどの新たな製品を開発・販売しています。iPhoneほどの売上規模にはなっていませんが、新たなデバイスの提案も引き続きするのではないでしょうか。今後も新商品発表会には注目ですね。

次に、営業利益率の推移をチェックしましょう。

営業利益率の推移

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上のグラフからもわかるとおり、2009年以降は営業利益率20%以上を維持しています。このように高い利益率を維持できる理由として、次の2つが考えられます。

  • 利益率が低い製造工程を外注している
  • App Storeでアプリ配信者から高額な手数料を受け取っている
  • Apple Musicなどのサービスを提供している

実は、製造業では「スマイルカーブ」と呼ばれるものが存在します。これは、製品を開発する“川上”と、製品を販売したりサポートしたりする“川下”は付加価値が高く、中間の製造工程は付加価値が低いことを示しています。

<スマイルカーブ>

スマイルカーブ

そして、付加価値が高い分、顧客が高いお金を払ってくれるため、スマイルカーブの川上と川下にいる会社は利益率が高くなります。

これをAppleに当てはめると、製品の開発(川上)と販売(川下)を押さえており最も利益率が低い製造工程を外注しているため、高い利益率を実現できたと考えられるのです。

また、Appleはアプリストア『App Store』でアプリを配信している会社や個人から、App Store経由での課金額の30%を手数料として受け取っていることも、高い収益力につながっていると考えられます。余談ですが、2020年には人気ゲーム『フォートナイト』を運営する企業が、Appleの手数料が高すぎることに抗議して話題となりました。

他にも、Apple Musicなどのサブスクリプションサービスを展開しているのも関係していそうです。これらのサービスは、利用者が増えれば増えるほど利益率が高くなるため、iPhoneユーザーの拡大によって収益性が高まっていったと推測できます。

最後に、かんたんに四半期業績の推移を確認します。

セグメント構成

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

1Qに売上高と営業利益が集中する傾向にあるようです。理由は、新商品の発売クリスマス商戦が1Qに集中しているからだと考えられます。Appleでは新商品発表会を秋におこない10~12月に発売するため、新商品をいち早く手に入れたいファンが買い求めます。さらに、12月にはクリスマスがあるため、プレゼント需要で売上が伸びやすいと予想できるのです。

2-2.キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー分析

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上のグラフは、アップルのキャッシュフロー(CF)を表したものです。キャッシュフロー計算書ではじめにチェックすべきなのが、「営業キャッシュフローの推移」です。営業キャッシュフローの動きから、経営がうまくいっているかどうかがわかります

営業キャッシュフローは、本業に関するお金の出入りを表しています。プラスなら本業からお金が入ってきている状態、マイナスだと本業をおこなうとお金が出ていく状態です。Appleは2007年から一貫して営業キャッシュフローがプラスになっています。2016年以降は頭打ちとなっていますが、安定してキャッシュを稼いでいる会社です。

次に、投資キャッシュフローを確認します。文字どおり、投資活動によるお金の出入りを表す項目です。一般的に、企業は成長を目的として店舗や工場に投資するため、投資キャッシュフローはマイナスになります。ただし、経営がきびしい企業などは、持っている資産を売却して経営のための現金を作ろうとします。そのため、投資キャッシュフローがプラスになる傾向にあるのです。

Appleの場合は、2017年までは一貫してマイナス2018年以降はプラスに転じています。なぜこのような動きになったのでしょうか?AppleのForm10-Kを使って調べてみましょう。

キャッシュフロー分析

(出典:AppleのForm10-K

最新のForm10-Kによると、「Purchases of marketable securities(有価証券の取得額)」が大きく減っています。詳しい理由はわかりませんが、有価証券を買っていた理由は、現金の使い道がないからだと考えられます。つまり、有価証券の取得額を減らした点から、他に現金を使う必要が出てきたと推測できるのです。それでは、何に現金を使おうとしたのでしょうか?そのヒントは、財務キャッシュフローにありました。

紫色の棒グラフで表されている財務キャッシュフローを見ましょう。財務キャッシュフローは、資金調達に関するお金の出入りを表す項目です。銀行や投資家から資金を集めてきたときは、財務キャッシュフローがプラスになります。反対に、銀行や投資家に資金を返したときには、財務キャッシュフローがマイナスになります。

Appleの財務キャッシュフローは、2018年から急激にマイナスとなっています。金額にして、およそ900億ドルのマイナスとなっており、何か大きな変化があった可能性が高いです。この数字だけを見てもよくわからないので、財務キャッシュフローの中身を確認しましょう。

キャッシュフロー分析

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

赤枠で囲んだ部分は「Repurchases of common stock(自己株式の取得額)」を表しており、こちらの金額が2018年以降に急増していますね。先ほどの投資キャッシュフローの動きと合わせると、Appleは積極的な自社株買いをおこなうため、有価証券の取得額を減らしたと予想できます。

以上、キャッシュフロー計算書から“最近のAppleは株主還元に力を入れている”とわかりました。

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4.配当をチェック

銘柄スカウター米国株では、配当金の推移を確認できます。下の画像のように、「配当」をクリックすると配当金の情報が表示されます。

年間配当履歴

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上の画像は、年間配当履歴です。2015年以降、連続して増配しています。

続いて、配当利回りを確認しましょう。ページの下のほうに載っているので、スクロールしてくださいね。

配当利回り

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

連続増配していると紹介しましたが、配当利回りは0.7%とそこまで高くはありません。配当利回りが低い理由は、株価が上がっている、毎年一定額は設備投資に回しているなどが考えられます。

このほかにも、「四半期ごとの配当の履歴」や「配当性向」も載っています。これらもあわせてご覧ください。

5.株価指標をチェック

各銘柄のPERPBRの推移が確認できます。下の画像のように、「株価指標」をクリックするとページが出てきます。

PERの推移

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上の画像はPERの推移です。赤色の折れ線グラフがPERの推移を、青色の折れ線グラフが株価の推移を表しています。2020年8月17日時点のPERは34.7倍と、過去2年間の最高値を更新中です。

なぜPERが最高値を更新しているのでしょうか?この理由は、Appleの成長性が投資家に高く評価されているからだと考えられます。事業内容でも紹介したとおり、AppleはApple MusicやApp Storeなどの収益が増えており、サービス業としての色合いが濃くなっています。この部分で安定して成長が見込めるため、PERが上昇しているのではないでしょうか。

このほかにも、PBR配当利回りの推移が載っているので、PERの推移に慣れてきたらチェックしてみてください。

6.まとめ

Appleと聞くとiPhoneやMacのイメージが強いですが、最近はApple MusicやApp Storeなどのサービス部門に力を入れています定期的に新しいiPhoneを出して新規顧客を獲得しながら、iPhoneユーザーに対して提供するサブスクリプションサービスなどで安定収益を高めていくと考えられます。今後のサービス部門の伸びに注目ですね!

これまで、米国株の情報を得るためには、このページでも紹介した「Form10-K」を読むのが基本でした。英語で書かれているので読むのが大変でしたが、銘柄スカウター米国株の登場によって、その手間が省略できますサクサク米国株の分析ができるので、米国株への投資を考えている方はぜひ使ってみてください!銘柄スカウター米国株は、マネックス証券に口座開設※7するだけで、誰でも無料で使えます!

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注)ここで紹介している分析方法や結果等は個人的な視点のもので、銘柄を推奨するものではございません。投資判断等は自己責任にてお願いいたします。
注)このページの分析は、2020年8月19日現在の情報に基づいています。同日以降に発表されたIR情報は反映していませんので、あらかじめご了承ください。

にしけいのプロフィール

・やさしい株のはじめ方の資産運用担当
・日本の中小型成長株に投資中!最近は米国株も分析し始めました
・ファイナンシャルプランナー2級、証券外務員の資格あり

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