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米国株(アメリカ株)の今後(2024年8月)の見通しと7月の振り返り

最終更新日:2024年9月2日

米国株市場の2024年7月の振り返りと、2024年8月の見通し、注目イベント、投資戦略についてご紹介します。

本記事のポイントは、次の3つです。

ポイント

  • 7月の主要3指数は高安まちまち
  • 8月は弱含みの展開に
  • 景気悪化懸念が浮上

2024年7月の米国株市場を振り返り

7月の米国株式市場は「ダウ工業株30種平均」と「S&P500」、「ナスダック総合株価指数」は高安まちまちの展開になりました。月間ベースでは、ダウ平均が前月比4.2%高、S&P500は同0.9%高、ナスダック総合は1.0%安です。

<出遅れていたダウ平均にマネー流入(年初来)>出遅れていたダウ平均にマネー流入(年初来)

出典:TradingView

割高感やAI(人工知能)分野の収益化懸念などを背景に、巨大テック株へのマネー一極集中の構図が変わってきており、景気敏感株や出遅れ株にも投資マネーが向かいました

S&P500は「時価総額加重平均」のため、巨大テック銘柄7社「マグニフィセント・セブン」の株価変動による影響が大きいですが、「S&P500均等加重指数」は超大型株の影響を受けにくいという特徴があります。

S&P500が月間ベースで0.9%高に対し、S&P500均等加重指数は4.4%高であり、物色の矛先が広がりを見せていると言えるでしょう。

S&P500セクター別の騰落率を見ても、相場を牽引してきた「コミュニケーションサービス(4.5%安)」、「情報技術(IT、2.4%安)」は軟調な展開となりました。一方、9月の利下げ観測が高まる中で「不動産(7.5%高)」の値上がりが目立っています。「公益(5.9%)」や「金融(6.0%高)も良好な値動きとなりました。

米連邦準備理事会(FRB)による年内複数回の利下げ観測や景気の軟着陸(ソフトランディング)期待も相場を下支えしました。利下げの恩恵を受けやすい中小型株で構成される「ラッセル2000」は月間ベースで9.9%値上がりしています。

7月に発表された物価・雇用指標は概ね、景気減速を示す結果となりました。

消費者物価指数(CPI)の推移

<図は米労働省を基に筆者加筆>消費者物価指数(CPI)の推移

出典:米労働省

31日に開催された「米連邦公開市場委員会(FOMC※1)」では、市場予想通り政策金利(FFレート)は据え置かれましたが、パウエル議長はその後の記者会見で「9月の利下げ開始もありうる」と明言しています。

※1 FOMC(エフオーエムシー)とは、米国の金融政策を決定する会合のことです。日本日銀金融政策決定会合にあたります。

8会合連続で据え置きのFFレート

<図はセントルイス連銀より引用>8会合連続で据え置きのFFレート

出典:セントルイス連銀

FRBは「物価安定」と「雇用の最大化」という2つの使命を掲げますが、パウエル議長は物価のみならず雇用にも目配りする姿勢を強調しました。

2024年8月の米国株見通し

8月の米国株式市場は「弱含み」の展開を想定します。

企業業績面では、8月2日時点でS&P500構成銘柄のうち75%の企業が2024年第2四半期決算を終える中、1株あたり利益(EPS※2)は78%の企業が予想を上回りました。これは10年平均の74%を上回る水準です。

※2 EPSとは、「Earnings Per Share」の略で、企業の「収益力」と「成長力」を評価する際に使われる指標の1つで、1株あたりの利益がどれだけあるのかを示すものです。基本的に数値が高いほど企業の収益力は高いと見ることができます。

売上高に関しては、S&P500構成銘柄の59%のみ予想を上回っており、10年平均の64%を下回っています。

バリュエーション面を見ると、S&P500の株価収益率(PER※3、12か月フォワード)は20.7倍と、10年平均の17.9倍を上回っており、5年平均の19.3倍と比べても割安感はありません。

※3 PER(ピーイーアール)とは、「Price Earnings Ratio」の略で、株価がEPSの何倍の価値になっているかを示すものです。一般的にPERの数字が大きいほどその株は割高、小さいほど割安と判断されます。

一部の割高な銘柄は市場の期待も高いことから、市場予想を上回る良好な決算を発表しても大きく売り込まれるケースが散見されていることには注意が必要でしょう。特に、相場をけん引してきた「AI」関連銘柄は、巨額投資の収益化に対して、投資家からきびしい目が向けられている状況です。

注目イベント、投資戦略

9月以降の利下げ回数や利下げ幅を探る上で、引き続き物価や雇用指標に注目です。

経済指標としては、14日のCPI、15日の小売売上高、21日のFOMC議事要旨、30日の個人消費支出(PCE)などの発表が予定されています。

2日に発表された雇用統計は市場予想より悪い内容であったことから、「景気悪化懸念」が広がっている状況です。

市場はすでに9月のFOMCで利下げをおこなうと見込んでいます。米金利先物の値動きから金融政策を予想する「CME FedWatchツール」によると、8月3日時点における9月のFOMCで利下げを見込む確率は「100%」と、1か月ほど前の64.1%から大幅に高まりました。

FedWatch(2024年9月)

図はCME Groupより引用FedWatch(2024年9月)

出典:CME Group

さらに、2024年末までに「3回」の利下げを見込む確率も66.4%と、FOMC参加者が見込む同年の利下げ回数(中央値)である「1回」を上回り、市場がより強気であることがわかります。

8月22日~24日には国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が予定されており、9月の利下げをより強く示唆するか、「0.5%」の大幅利下げに向けた地ならしをおこなうか、パウエル議長の発言に注目です。

米国株の手数料比較

米国株には、売買手数料と為替手数料の2種類のコストが発生します。証券会社ごとの手数料を比較するので、参考にしてください。

米国株の取引コスト比較
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マネックス証券 0.495%
(最低0米ドル※1
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(最低0米ドル※1
20銭

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SMBC日興証券 0.495%
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野村證券 2,389円~※4 25銭または50銭※5

詳細

2024年9月現在)

※1 約定代金が2.22米ドル以下の取引なら、売買手数料は0米ドル(無料)になります。
※2 10万米ドル未満は50銭、10万米ドル以上80万米ドル未満は25銭になります。
※3 日本時間の23時半~6時(夏時間は22時半~5時)は0.5%、それ以外の時間帯は0.7%のスプレッドがかかります。
※4 オンラインサービスで、約定金額20万円以下の取引をした場合の手数料です。約定金額に応じて手数料額が加算され、最大約25万円の手数料が発生します。
※5 約定金額10万米ドル以上は25銭、10万米ドル未満は50銭です。

まとめ

7月の米国株式市場は、巨大テック株だけでなく景気敏感株や出遅れ株にも投資物色の広がりを見せはじめました。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測などが相場を下支えしましたが、7月に発表された物価・雇用指標は景気減速を示す結果が目立ちます。

7月に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、予想どおり政策金利は据え置かれましたが、パウエル議長の発言により9月の利下げ見込みが高まっています。

8月の米国株式市場は、弱含みの展開になる見込みです。巨額投資の収益化問題からAI関連銘柄への投資家の目線がきびしくなっており、好決算を出しても割高感から売り込まれる可能性があるため注意が必要です。

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