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米国株(アメリカ株)の今後(2024年5月)の見通しと4月の振り返り
最終更新日:2024年5月6日
米国株市場の2024年4月の振り返りと、2024年5月の見通し、注目イベント、投資戦略についてご紹介します。
本記事のポイントは、次の3つです。
ポイント
- 4月は主要3指数揃って6か月ぶりに反落
- 押し目買いスタンスを継続
- 「セル・イン・メイ(5月に売り逃げろ)」
それでは、詳しくみていきましょう。
4月の振り返り
4月の米国株式市場は「ダウ工業株30種平均」と「S&P500」、「ナスダック総合株価指数」の主要3指数がそろって、6か月ぶりに反落しました。
<ダウ平均は6か月ぶりに反落>
出典:図はTradingViewを基に筆者加筆
値下がりの背景としては、根強いインフレによる米利下げの先延ばし観測、中東における地政学リスクの高まり、一部のハイテク銘柄決算への失望などが挙げられます。米国株は、昨年10月後半から調整らしい調整なく値上がりしてきましたが、漸く調整が訪れた形です。
月間ベースでは、ダウ平均が前月比4.9%安、S&P500は同4.1%安、ナスダック総合は4.4%安となりました。中小型株で構成する「ラッセル2000」も6.7%安と、資金が流出しています。
S&P500セクター別の騰落率を見ると、金利高の影響を大きく受ける「不動産」や「情報技術(IT)」などの値下がりが目立ちました。一方、景気動向に業績が左右されにくいディフェンシブ銘柄の「公益」は唯一値上がりしています。
3月の消費者物価指数(CPI)や個人消費支出(PCEデフレーター)といった物価指標が市場予想を上回ったことにより、早期の利下げ機運が大きく後退しました。これを受け、米10年国債利回りは1月以降、上昇基調に転じており、株式の相対的な割高感が意識されている状況です。
<米10年国債利回り>
出典:図はセントルイス連銀を基に筆者加筆
利下げが先延ばしされるとの観測が強まる中、米金利先物の値動きから金融政策を予想する「CME FedWatchツール」によると、1か月ほど前に6割ほどであった6月の利下げ確率はわずか8%台に低下しています。
7月の米連邦公開市場委員会(FOMC※1)でも、利下げを見込む確率は20%台、9月は40%弱と、インフレ再燃に警戒感が広がっている状況です。
※1 FOMC(エフオーエムシー)とは、米国の金融政策を決定する会合のことです。日本日銀金融政策決定会合にあたります。
<FedWatch(2024年9月)>
出典:図はCME Groupを基に筆者加筆、日本時間5月1日時点
5月の見通し
5月の米国株式市場は「押し目買い戦略」が有効となりそうです。4月の調整でマーケットの過熱感がある程度解消されたことから、今後大きく売られることがあれば、そこは押し目買いの好機と言えるでしょう。
企業業績面では、2024年第1四半期の決算シーズンが半ばを迎え、4月26日時点で決算発表を終えた銘柄のうち、1株あたり利益(EPS※2)では77%、売上高では60%の企業がポジティブサプライズとなりました。
※2 EPSとは、「Earnings Per Share」の略で、企業の「収益力」と「成長力」を評価する際に使われる指標の一つで、1株あたりの利益がどれだけあるのかを示すものです。基本的に数値が高いほど企業の収益力は高いと見ることができます。
S&P 500採用企業のEPSは、前年同期比で3四半期連続の増益となります。通年で見ても、EPSは2024年に10%、2025年には14%の伸びが見込まれており、企業業績は堅調と言えるでしょう。
<S&P500のEPS推移>
出典:ファクトセット
注目イベント、投資戦略
利下げのタイミングや回数を探る上で、引き続き各種物価指標など経済指標を注視する必要があります。
特に、1日のFOMCおよびパウエルFRB議長の記者会見、3日の雇用統計、15日のCPI、22日のFOMC議事要旨、31日のPCEなどに注目です。
また、米国株式には「Sell in May and go away. Do not come back until St Leger day」という相場格言があります。
セント・レジャー・デー(St Leger day)は、9月中旬に英国でおこなわれる競馬レースの開催日です。つまり「5月に株を売って、9月中旬以降に株式投資を再開せよ」という意味になります。
この格言は、5月から9月中旬にかけて米国株は軟調に推移し、9月中旬から上がりはじめる傾向にあるという「アノマリー※4」によるものです。
※4 「アノマリーとは、経験的に観測できるマーケットの規則性を指します。
5月から9月中旬にかけてさえない展開になる要因としては、5月までに確定申告の税還付の資金流入が一巡することや夏季休暇前のポジション調整などが挙げられます。ただし、明確な根拠はないことから、「セル・イン・メイ」はあくまでアノマリーとして捉えたほうが良いでしょう。
<S&P500月次パフォーマンス>
出典:図はヤルデニリサーチを基に筆者加筆
米国株は4月に調整しましたが、利下げ動向を踏まえつつ、好業績銘柄の押し目買いが有効な戦略となりそうです。