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【米国株】Alphabet[アルファベット](GOOGL)

公開日:2020年9月7日

成長性 2.5
割安性 2.0
収益性 4.0
財務健全性 4.0

世界最大級のインターネット検索サイト「Google(グーグル)」を運営する、米国株のAlphabet[アルファベット](GOOGL)について、企業分析しました(Alphabetの公式ホームページ)。使ったツールは、マネックス証券の「銘柄スカウター米国株」です。

Alphabet(以下、アルファベット)について1つ注意点があります。それは、アルファベットにはティッカーが2種類ある点です。アルファベットを検索すると「GOOGL」と「GOOG」の2つがあり、この違いは“議決権があるかどうか”です。

具体的には、「GOOGL」は議決権ありの株式(A株といいます)、「GOOG」は議決権なしの株式(C株といいます)となっています。どちらを買っても株価は同じように動くため、基本的にリターンは同じです。今回の分析では、議決権ありの「GOOGL」を取り扱います。

アルファベットの注目ポイントは、以下の点です。

  • 新しい顧客を獲得するため複数のサービスを展開

さっそく、見ていきましょう!

注意

分析方法や予測、結果などは管理人の個人的な見解です。 銘柄を推奨するものではございません。投資判断等は自己責任にてお願いいたします。

基礎情報

まずは、基礎情報の確認です!マネックス証券銘柄スカウター米国株を開くと、ページの上にまとまっています。

基礎情報

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

まずは、時価総額の確認です。アルファベットの時価総額は約1.1兆ドルとなっており、1ドル=100円として日本円に直すと約110兆円です。日本企業だとZホールディングス(4689)が近い事業をおこなっており、こちらの時価総額は3.29兆円となっています。類似企業といえども2社の時価総額の差が大きすぎて、さすが“GAFA※1の一角”を担うだけの巨大企業だと言えますね。

※1 GAFAは、Google、Apple、Facebook、Amazonの頭文字を取ったものです。いずれもアメリカの企業ですが、世界を代表する巨大IT企業として有名です。

続いて、PERPBRを確認します。類似企業のZホールディングスの数値と比べてみましょう。

アルファベット Zホールディングス
PER 34.8倍 -倍
PBR 5.2倍 4.4倍

アルファベットは、Zホールディングスよりも割高感がありますね。割高感そのものは悪くなくて、それだけアルファベットに投資家の期待が集まっているのだとわかります。

続いて、ROEROAです。PERと同じように、Zホールディングスと比べてみます。

アルファベット Zホールディングス
ROE 15.8% 10.8%
ROA 11.8% 2.1%

どちらの指標もアルファベットの方が高く、Zホールディングスよりも収益性が高いとわかります。ZホールディングスもROEが10%を超えており、決して収益性が低いわけではありません。しかし、2社を並べるとアルファベットの収益性の高さがとても目立ちますね。なぜこのような差が発生しているのかは、後ほど詳しく説明します。

株価推移(最近6か月)

株価推移は、画面上にある「株価/チャート」をクリックすると確認できます。

株価推移(最近6か月)

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

株価の動きを確認しましょう。2020年3月中旬に株価が1,400ドルから1,000ドル付近まで下がっていますね。これはコロナショックの影響と考えられます。

しかし、その後はゆるやかに株価が回復し、2020年8月26日現在の株価は1,600ドルと、コロナショック前よりも株価が高くなっています

事業内容の要約

続いて、企業の概要をつかみましょう!企業概要は、先ほど確認した基礎情報の下にまとまっています。

企業情報

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

アルファベットは、世界最大級の検索プラットフォームグーグル」を運営しています。日常生活の中でグーグル検索をしない日はないと言っても良いぐらい、生活に欠かせないインフラとなっていますね。その他にも、Androidユーザーに欠かせないGoogle Playや、動画サイト大手のYouTubeなどを抱えています。

かなり手広く事業を展開しているので、売上高の内訳が気になりますよね。画面上のバーにある『セグメント業績』をクリックしてください。

セグメント業績

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

売上高の中身が表示されます。右側の円グラフを見ると、水色の「グーグル」が99.3%を占めています。グーグルは、検索時やWebサイトを見ているときに表示される広告事業がメインなので、アルファベットの売上高はほぼ広告収入でできているとわかります。

なお、「Other Bets」はベンチャー事業の売上高です。実は、アルファベットは積極的にベンチャー事業に投資しており、バイオテックベンチャーの「Calico」や自動運転開発の「Weymo」などへの投資実績があります。これらの売上高が「Other Bets」としてまとめられているわけです。

以上から、アルファベットを分析する際は、広告事業に注目するべきだとわかりました。これを念頭に置いて、財務諸表を読んでみましょう。

財務諸表分析

損益計算書

銘柄スカウター米国株では、損益計算書の推移を確認できます。画面上の「企業分析」をクリックすると、「通期業績推移」と「四半期業績推移」に載っています。さっそく、「通期業績推移」から見ていきましょう。

通期業績推移

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

青色の棒グラフが売上高を、赤色の折れ線グラフが営業利益を表しています。2007年以降右肩上がりで成長しており、直近でも売上高がしっかり伸びているため、成長力は衰えていないと考えられます。

それでは、なぜアルファベットは高い成長力を維持できているのでしょうか?理由を探ってみましょう。

上の画像は、アルファベットの年次報告書の一部を切り出したものです。この部分には、「グーグルはAndroidやクローム、Gmailなど、それぞれ10億人が使うサービスを持っている」と書かれています。いずれのサービスも、私たちの日常生活に欠かせないものとなっていますよね。

この点を踏まえると、アルファベットは複数のサービスを展開しユーザー数を次々と獲得していると考えられます。ユーザー数が増えれば、その分本業の広告収入が増えていく仕組みとなっているので、アルファベットは高い成長率を維持できているのです。

続いて、営業利益率を確認しましょう。

通期業績推移

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

赤色の折れ線グラフが営業利益率を表しています。2007年には営業利益率が31%ほどありましたが、2019年には22%付近まで下がってきています。この動きだけを見ると「収益性が悪化している」ように考えられますが、その裏側を調べる必要があります。

原価率と販管費率の推移

上のグラフは、アルファベットの売上高(水色の棒グラフ)と原価率(オレンジ色の折れ線グラフ)、販管費率(黄色の折れ線グラフ)の推移です。売上高の成長に合わせて原価率が上昇しているのがわかります。この理由として考えられるのは、次の2つです。

  1. YouTubeやクラウド事業を拡大するために多額の投資をおこなった
  2. Appleに支払う媒体費用が増えた

2つ目のAppleに支払う媒体費用について補足します。実は、アルファベットはiPhoneなどで使われる検索エンジンを提供しており、Appleに多額の媒体費用を支払っているのです。出費は大きいですが、アルファベットにとっては、iPhoneユーザーが勝手にグーグル検索を使ってくれるメリットの方が大きいと考えられます。

以上を踏まえると、アルファベットの営業利益率低下は悪くはないといえますね。

最後に、四半期業績の推移を確認します。四半期ごとに売上高に偏りがあるか、安定して業績が伸びているかをチェックしましょう。

四半期業績推移

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上のグラフを見ると、4Qに売上高が増えやすい傾向がうかがえます。詳しい理由はわかりませんが、年度末で売上が集中しやすいためと推測できます。

また、直近の2020年12月期2Q決算では、売上高が前四半期と比べて減少しています。この理由は、新型コロナウイルスの影響で企業が広告を減らしたためです。このように、広告事業は景気などに左右されやすいので注意しましょう。

キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー分析

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上のグラフは、アルファベットのキャッシュフロー(CF)です。

はじめに、営業キャッシュフロー(赤色の棒グラフ)の動きを確認します。営業キャッシュフローをひとことで表すと、本業で得た現金です。アルファベットは営業キャッシュフローが右肩上がりで増えており、安定して成長しているのがわかります。

続いて、投資キャッシュフロー(緑色の棒グラフ)を確認します。投資キャッシュフローは、設備投資などに積極的にお金を使っている場合はマイナスに、その反対に設備を売った場合などはプラスとなります。アルファベットはずっとマイナスとなっており、積極的に投資にお金を使っているとわかりました。

それでは、アルファベットは何に投資しているのでしょうか?Form10-Kと呼ばれるアメリカ版の決算書を使って、その内訳を確認しましょう。

投資キャッシュフローの中で最も支出額が大きかったのは、「Purchases of marketable securities(有価証券の購入)」です。具体的には、国債や社債、住宅ローン債券などを買っています。

営業利益率が高く、現金創出力が高すぎるため、データセンターなどへの投資をしても現金が余るのだと考えられます。現金のまま持っていても仕方がないので、有価証券で運用しているようですね。

最後に、財務キャッシュフロー(紫色の棒グラフ)をチェックします。財務キャッシュフローは、銀行から借金をしたり株を発行して増資したりした場合はプラスに、反対に借金を返済したり自社株買いをおこなったりしたときはマイナスになります。推移をみると、2015年ごろからマイナス額が大きくなり、2018年と2019年は過去一段とマイナス額が大きくなっています。

なぜ直近の2年間は財務キャッシュフローのマイナス額が拡大したのでしょうか?理由を探ってみましょう。

財務キャッシュフローの中で最も支出額が大きかったのは、「Repurchases of capital stock(自己株式の取得)」です。いわゆる“自社株買い”ですね。ここ2年ほどは特に自社株買いの金額が増えており、株主還元に積極的に取り組んでいる様子がうかがえます。

以上を整理すると、アルファベットは現金総出力がとても高く、設備投資に回しても現金が余ってしまうため、有価証券で運用をしつつ株主還元を強化しているようです。

配当をチェック

銘柄スカウター米国株では、配当金の推移を確認できます。下の画像のように、「配当」をクリックすると配当金の情報が表示されます。

年間配当履歴

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上の画像は、年間配当履歴です。アルファベットはずっと配当金ゼロを貫いています。先ほど、キャッシュフロー計算書の紹介で、自社株買いに力を入れているとお伝えしましたが、配当金を支払っていない点が気になりますよね。

仮説ベースですが、自社株買いは毎年実施しなくてもよいからだと考えられます。配当金は減額したり無配にしたりすると株価が下がってしまいますが、自社株買いはそもそも毎年実施するものではないため、仮に実施しない年があっても株価が下がる原因にはなりません。

つまり、株主還元をするかしないかを柔軟に決められるように、あえて配当金はゼロにして自社株買いで対応しているのだと考えられます。

このほか、配当のページでは「配当利回り」や「配当性向」なども載っています。今回は配当金がゼロだったので省略しますが、米国株を調べるときはぜひチェックしてみてくださいね。

株価指標をチェック

各銘柄のPERPBRの推移が確認できます。下の画像のように、「株価指標」をクリックするとページが出てきます。

PERの推移

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上の画像はPERの推移です。赤色の折れ線グラフがPERの推移を、青色の折れ線グラフが株価の推移を表しています。2020年8月31日時点のPERは36.1倍と、過去2年間の平均値付近で推移しています。

明確な理由は示せませんが、おそらくPER36倍付近がアルファベットの適正値であり、今後爆発的な成長が見込めないため、この水準に落ち着いているのではないでしょうか。

前回のAppleの分析記事で紹介したように、世界のスマートフォン出荷台数が頭打ちになっており、グーグル検索自体が爆発的に伸びる未来はあまり想像できません。最近アルファベットがグーグル検索だけでなく、YouTubeやクラウドに手を出しているのは、このような背景があるからだと考えられます。

以上をまとめると、何か大きなニュースが出ない限りは、PERは36倍付近で推移するのではないでしょうか。あくまで予想なので外れる可能性が高いですが、PERの推移からこのように予想が立てられるので、ぜひチャレンジしてみてください。

このほかにも、PBR配当利回りの推移が載っているので、PERの推移に慣れてきたらチェックしてみてください。

まとめ

アルファベットの企業分析はいかがでしたか?財務分析をとおして、GAFAの一部を担う会社の強さが垣間見えました。グーグル検索を世界中に広めつつ、検索以外にもメールやクラウドなどを展開し、アルファベットのサービス利用者をどんどん増やす戦略は、とても鮮やかだなと思いました。

少しずつ私たちの生活に欠かせない企業となったアルファベットは、今後どのような手段で成長していくのか楽しみですね。

これまで、米国株の情報を得るためには、このページでも紹介した「Form10-K」を読むのが基本でした。英語で書かれているので読むのが大変でしたが、銘柄スカウター米国株の登場によって、その手間が省略できます!サクサク米国株の分析ができるので、米国株への投資を考えている方はぜひ使ってみてください!銘柄スカウター米国株は、マネックス証券に口座開設※7するだけで、誰でも無料で使えます!

※7 2020年3月16日以降にマネックス証券に口座開設された方は、米国株の取引口座も自動で作られます。そのため、別で手続きする必要はありません。
ただし、2020年3月16日以前にマネックス証券に口座開設された方は、米国株を取引するためには新たに米国株の取引口座を作る必要があります。手続きの方法は、「マネックス証券で見る、米国株口座開設」をご覧ください。

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注意

ここで紹介している分析方法や結果等は個人的な視点のもので、銘柄を推奨するものではございません。投資判断等は自己責任にてお願いいたします。また、このページの分析は、記事公開時の情報に基づいています。同日以降に発表されたIR情報は反映していませんので、あらかじめご了承ください。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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