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【商社関連株・銘柄まとめ】商社株はどこまで上がる?今後の見通しを解説
商社株とは、主に卸売業を営む会社の株です。商社は「ラーメンからミサイルまで」と称されるほど、多くのモノ・サービスを幅広く扱っています。
今、商社の役割が改めて見直されています。脱炭素の環境規制や米中の対立によって世界のモノ作りや供給網が大きく変わりつつあり、貿易や新規事業を得意とする商社のビジネスチャンスが広がっているのです。
また、「投資の神様」として世界中の投資家から注目を集めているウォーレン・バフェット氏が、2020年から商社株に投資、2023年6月には買い増ししたことで、商社株への期待が高まっています。
この記事では、商社株の見通しや代表的な10銘柄を紹介するので、投資を考えている方はぜひ参考にしてください。
商社株で意識しておきたいポイント
商社株に投資するうえで、意識しておきたいポイントは次の4つです。
商社株への投資で意識すべき4つのポイント
それぞれ見ていきましょう。
5大商社
商社株の中でも、特に注目しておきたいのは5大商社です。
これら5社は日本を代表する大手総合商社で、業績や規模、グローバル展開、専門性、人材、給与など、さまざまな面で優れていることが評価されています。
ウォーレン・バフェット氏が2023年春に来日し、5大商社への追加投資を表明したことで、5大商社の株価は大きく値上がりし、日本株全体のけん引役となっています。
景気敏感株であること
商社株は景気敏感株(シクリカル株)です。世界の景気に株価が左右されます。真っ先に景気の影響を受ける、エネルギーや金属などの取り扱い量が多いためです。
商社株に投資する際は、景気動向に注意しましょう。
高配当株であること
商社株は高配当株としても知られています。商社は株主還元に積極的なうえ、コングロマリットディスカウント※1で株価が割安となるため、配当利回りが高くなるからです。
※1 コングロマリットディスカウントとは、さまざまな分野の事業をおこなう会社の株価が、本来の価値より低くなることです。
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政府との協力関係が欠かせない
商社は政府との協力関係が欠かせない業種でもあります。商社には、国家貿易※2をおこなう特権が政府から割り当てられているからです。
※2 国家貿易とは、食料の安定供給を目的に、国が特権を与えた団体や会社が独占しておこなう貿易のことです。主に米や麦、乳製品が対象となっています。
商社株は景気のほか政策にも影響される株と言えます。
関連株・銘柄一覧
商社関連株は、総合商社と専門商社の2つに分けてピックアップしました。
総合商社
総合商社は、さまざまな分野のモノ・サービスの卸や小売、貿易、事業への投資などを国内外で広くおこなっています。
5大商社である三菱商事(8058)、三井物産(8031)、住友商事(8053)、伊藤忠商事(8001)、丸紅(8002)をご紹介します。豊田通商(8015)はトヨタのグループの一員です。双日(2768)は、総合商社のニチメンと日商岩井ホールディングスの2社が合併して誕生しました。
兼松(8020)は、経営再建を経てITや食料などの4分野に事業を絞っています。
専門商社
専門商社は、特定の分野に特化した商社です。
化学品に強みを持つ長瀬産業(8012)、LPGの取り扱い国内首位の岩谷産業(8088)をピックアップしました。
銘柄名 (タップクリックで最新株価) |
事業内容 |
---|---|
三菱商事(8058) | 三菱グループの中核。金属資源と天然ガス事業が利益の約半分を占める。このほか輸送機器や素材などを広く手がける。2024年度までの3年間で次世代エネルギーなどの成長投資に約2兆円を投じる。総還元性向(株主に渡る利益の割合)は40%が目途。 |
三井物産(8031) | 三井グループの主要三社のひとつ。金属資源およびエネルギー事業が利益の6割超を占める。2026年度までの2年間でLNGや天然ガス、アンモニアなどのエネルギー関連投資を約1兆円増額する。前期の配当以上を維持する「累進配当」を2024年3月期から導入する。 |
住友商事(8053) | 住友グループの主要企業のひとつ。非資源分野から得る利益が約6割を占める。輸送機器、建機、資源、化学品、金属、発電事業などを手がける。 |
伊藤忠商事(8001) | 5大商社の一角。非資源分野が利益を占める割合は6割弱。金属、エネルギー、機械、食料、建材などを広く扱う。中国に強み。累進配当。 |
丸紅(8002) | 5大商社の一角。非資源分野の利益が約6割。金属や食料、農業資材のほかエネルギー、金融、不動産などを幅広く展開。発電事業や米国やブラジルの農業資材関連などに新規投資。累進配当。 |
豊田通商(8015) | トヨタグループの自動車輸出を中心に金属や部品、機械、化学品などを扱う。国内初となる水酸化リチウム(車載電池用)の製造工場を福島に建設。再生可能エネルギーや次世代モビリティなどを重点分野としている。海外はアフリカに強み。 |
双日(2768) | ニチメンと日商岩井ホールディングスが合併して発足。金属資源事業を中心に化学品や自動車などを扱う。一般炭と石油の権益を2030年までにゼロとする目標を立てている。 |
兼松(8020) | 食料と電子部品のほか鉄鋼、輸送機器を合わせた計4分野を扱う。外食大手の物語コーポレーションと組んでインドネシアで合弁事業を立ち上げるなどアジア市場の開拓に注力。 |
長瀬産業(8012) | 化学系専門商社。半導体材料や樹脂など素材関連を得意としている。収益の約半分を海外で稼ぐ。自己株式取得により総還元性向は71%を見込む。 |
岩谷産業(8088) | エネルギーの専門商社。LPガス、産業ガス、カセットコンロなどを中心に機械や素材なども扱う。水素ビジネスに注力。海外事業の拡大にも意欲。2023年3月期には8年連続で最高益を更新、3年連続増配を実現。 |
商社関連株・銘柄の見通し
商社関連株の見通しを「良い・普通・悪い」で表すと、「良い」と言えます。長年、割安にすえ置かれていた株価が見直されているからです。では、商社株の今後について、見るべきポイントを挙げていきます。
商社株の見通しが良いと判断できるポイントは、次の5つです。
良いポイント
それぞれ見ていきましょう。
① ウォーレン・バフェット氏が商社株を買い増し
何と言っても、著名な投資家であるウォーレンバフェット氏が日本の商社株を買い増しした影響は大きいです。4月の来日以降、商社の株価は大きく値上がりしています。
バフェット氏については当サイトでも記事にまとめているので、気になる方は参考にしてください。
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② 日本株に対する見直しの気運が高まっている
商社株だけでなく、日本株全体が値上がりしています。
多くの未上場会社の事業に投資をおこない、未公開株を多数保有している商社にとってプラスです。株価水準が高い時に投資先の会社が株式公開(上場)すると、より高い値が付き、より大きな上場益※2が得られるからです。
※2 上場益とは、株式の新規公開によって株主(この場合は商社)が得る利益のことです。
③ 中国リスクを懸念して日本製品の引き合いが増加
米中の対立を背景に、中国とのビジネスや対中投資を控える動きが広がっています。今まで中国製品を調達していた欧州などの国々から、日本製品の引き合いが増える動きも。商社にその窓口としての期待が高まります。
④ GXやDXの推進による納入先変更
GX※3やDX※4の推進よってモノ・サービスの調達先や作り方、納入先を変更する会社が世界中で増えています。
※3 GXとは「Green Transformation(グリーントランスフォーメーション)」の略で、産業や社会の脱炭素化を通じて、クリーンなエネルギーを活用する取り組みです。
※4 DXとは、「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略で、産業や社会のデジタル化を通じて、ビジネスや人々の生活をより良いものに変えていく取り組みです。
リスクを軽減するために商社を通じた新規の取引・事業のニーズが一定量発生すると考えられます。
地球温暖化を背景にCO2を削減する動きや、省エネや産業の効率化を目的にデジタル化を進める動きは世界中で広まっており、GXとDXはより推進されていくでしょう。
⑤ 世界中で食料安全保障が意識され、一部商社では追い風に
ウクライナ侵攻による食料不足を経て、世界の国々は食料安全保障※5を意識し、自国生産を増やしたり食料調達先を見直したり、対応を急いでいます。
※5 食料安全保障とは、国民一人一人がいつでも食料をかんたんに入手可能な状態にすることです。
農業資材のビジネスを展開する商社にはチャンスです。日本でも自然災害の増加や台湾有事による輸入への影響、国内生産の先細りが懸念されており、商社を通した食料輸入が増えていく可能性があります。
【注意点】世界景気の悪化
インフレを止めるために、各国で利上げが進行中です。利上げには景気を減速する作用があるので、景気の悪化が懸念されています。景気敏感株である商社株も、影響を受ける可能性はあるでしょう。
注意
記載の見通しは、当サイト編集部の見解なので、結果を保証するものではありません。いかなる不利益が生じた際にも当サイトは一切の責任を負いませんので、すべてにおける最終判断はご自身でおこなってください。
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まとめ
商社株の先行きは明るいと言えます。バフェット効果で商社の株価と事業内容が見直されつつあるからです。
世界の分断やGX、DXによって産業や社会のありかたが大きく変わろうとしている今、商社にとって新規事業や業容拡大のビックチャンスが到来しているのです。
商社株の売買を検討する際は、米中対立をはじめとする世界情勢、環境規制、技術の発展、世界の食料事情、景気動向などの背景を踏まえ、個別の銘柄を検討しましょう。