- ホーム
- 米国株投資のはじめ方(目次)
- 米国株(アメリカ株)の今後(2025年9月)の見通しと8月の振り返り
米国株(アメリカ株)の今後(2025年9月)の見通しと8月の振り返り
米国株市場の2025年8月の振り返りと、2025年9月の見通し、注目イベント、投資戦略についてご紹介します。
本記事のポイントは、次の3つです。
ポイント
- 8月は3指数揃って高値更新
- 9月はアノマリー的に株価が調整する傾向
- 好業績銘柄の押し目買いが有効な戦略に
詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
2025年8月の米国株市場を振り返り
8月の米国株式市場はダウ工業株30種平均とS&P500、ナスダック総合株価指数の主要3指数がそろって史上最高値を更新しました。
<8月はダウ平均も高値更新(8月1日~29日)>
出典:TradingView
月間ベース(前月終値比)ではダウ平均が3.2%高、S&P500は同1.9%高、ナスダック総合は1.6%高です。S&P500およびナスダック総合に続き、ダウ平均も最高値を更新する場面がみられました。
S&P500セクター別に過去1か月の騰落率をみると、「通信サービス(5.6%高)」や「素材(2.9%高)」の値上がりが目立ちました。「一般消費財(2.2%高)」や「ヘルスケア(1.9%高)」など出遅れ銘柄にも物色の矛先が向かっています。一方、「公益(1.0%安)」や「不動産(1.0%安)」などは軟調な展開となりました。
8月は企業決算が総じて堅調だったほか、月初めの「雇用統計ショック」や下旬の「ジャクソンホール会議」でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演などを受け、利下げ機運が高まったことなどが市場で好感されました。
1日に発表された7月の米雇用統計は、非農業部門の就業者数が前月比7万3,000人増と市場予想を下回りました。さらに5~6月の伸びが大幅に下方修正されています。市場では雇用統計ショックが生じ、米株安と利下げ観測が強まりました。
<非農業部門の就業者数の推移(千人)>
出典:米労働省
7月の米消費者物価指数(CPI)は伸び率が前月比0.2%と市場予想と一致したことで、インフレ懸念を強めず、利下げ期待を高める結果となりました。
<米CPIの推移(%)>
出典:米労働省
FRBが重視する米個人消費支出(PCE)物価指数(7月)は前月比0.2%高と、市場予想と一致しており、こちらもインフレ圧力が過度に高まっていないことが示されました。
7月の米小売売上高は前月比0.5%増と市場予想と一致しました。トランプ関税の影響を受ける企業が本格的に値上げをはじめる前の駆け込み消費が続いている状況です。
<米小売売上高(上段は前月比増減率、季節調整済み、百万ドル)>
出典:米商務省
市場ではパウエル議長の発言や各種経済データの結果を受け、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測が高まっています。米金利先物の値動きから金融政策を予想する「CME FedWatchツール」によると、同月のFOMCで政策金利の引き下げ確率は9割弱に達しています(8月28日時点)。
<FedWatch(2025年9月FOMC)>
出典:CME Group
2025年末までに3回の利下げ(1回あたり0.25%の利下げを想定)が有力視されており、利下げが再開されれば相場の下支え要因となるでしょう。
2025年9月の見通し
9月の米株式市場は堅調な企業業績や利下げ期待を背景に底堅い展開になると予想します。
次回のFOMCは9月16~17日に開催される予定です。それまでに雇用統計とCPIが1回ずつ発表されます。利下げを決める決定打となるか、引き続きデータを注視する必要があります。併せて、今後の利下げ方針や物価見通しなどに関するFRBの姿勢を推し量る上で、FOMC参加者による四半期に1度の経済見通しも重要でしょう。
ミクロ面では多くの米主要企業が2025年第2四半期の決算発表を終えました。
8月29日時点において、S&P500構成企業の98%が決算を発表するなか、そのうち81%の企業は売上高および1株あたり利益(EPS※1)がポジティブサプライズとなりました(出所:ファクトセット)。それぞれ過去10年平均(64%、75%)を上回っています。
※1 EPSとは、「Earnings Per Share」の略で、企業の「収益力」と「成長力」を評価する際に使われる指標の1つで、1株あたりの利益がどれだけあるのかを示すものです。基本的に数値が高いほど企業の収益力は高いとみることができます。
2025年第2四半期のS&P500採用企業の利益成長率は11.9%と、3四半期連続で2桁成長を遂げる見込みです。6月末時点では4.8%増だったことから、企業業績は市場の想定を上回って底堅いものだったと言えるでしょう。
2025年第3四半期は7.5%、同年第4四半期は7.2%、2025年通期は10.6%、2026年通期は13.4%と予想されており、堅調な展開が続く見込みです。
<S&P500採用企業の利益成長率見通し>
出典:ファクトセット
S&P500構成銘柄の予想株価収益率(PER、12か月フォワード)は22.4倍と、過去5年の平均である19.9倍、過去10年平均の18.5倍と比較して割高感があります。
S&P500は割高な水準ですが、9月のFOMCでの利下げ期待と堅調な企業業績が相場の下支え要因となりそうです。
注目イベント、投資戦略
9月はアノマリー(経験則)的に株価が調整する傾向にある月です。
1928年から2025年7月までの長期ヒストリカルデータによると、9月は1年のなかで最も株価パフォーマンスが優れない月です。平均の値下がり率は1.13%安になります。
<S&P500の月次パフォーマンス(1928年~2025年7月)>
出典:ヤルデニリサーチ
他方、トランプ関税を巡る不確実性が後退するとともに、企業業績が底堅いことなどを背景に、ウォール街のストラテジストによる2025年末のS&P500目標株価の引き上げが続いている状況です。8月にはUBS、シティ、HSBCなどが引き上げました。
米証券大手ジェフリーズもS&P500の2025年末目標を6,600に引き上げています。これまで同社は6,000を下回ると予想する唯一の主要証券会社であったことから、ウォール街のストラテジストが総じて米国株に対して強気に転じたことがうかがえます。
アナリストのボトムアップ分析による2025年末のS&P500の目標株価は7,239.62と、8月29日終値(6,460.26)から12.1%の上値余地があります。
依然としてトランプ関税によるインフレ懸念、消費減退リスクは燻っていますが、年末にかけてS&P500の値上がりが予想されるなか、9月に市場全体に連れて好業績銘柄の株価が調整する場面がみられれば、押し目を拾う好機になりそうです。
さらに、9月のFOMCでの利下げが見込まれるなか、利下げ局面で選好されやすいセクターへの投資マネーの流入が期待できます。
利下げ局面で注目されるセクター
- 不動産
- 金融
- 金鉱
- 暗号資産(仮想通貨)
- 公益
4月初旬から足元まででは、人工知能(AI)や防衛などトランプ政権の政策にマッチした好業績銘柄に投資マネーが集中してきました。上値を追うために物色の広がりがみられるか注目です。
経済指標としては1日に相互関税の一部停止期限、雇用統計、ISM製造業景況感指数、5日にISM非製造業景況感指数、12日にCPI、15日に小売売上高、16~17日にFOMC政策金利、20日にFOMC議事要旨、29日にPCEデフレーターなどの発表を控えています。
| 日付 | 指標名 | 補足 |
|---|---|---|
| 9月1日 | 相互関税の一部停止期限 | 貿易政策の転換点 |
| 9月1日 | 雇用統計 | 労働市場の動向 |
| 9月1日 | ISM製造業景況感指数 | 製造業の景況感 |
| 9月5日 | ISM非製造業景況感指数 | サービス業の景況感 |
| 9月12日 | 米消費者物価指数(CPI) | インフレの注目指標 |
| 9月15日 | 小売売上高 | 個人消費の動向 |
| 9月16〜17日 | FOMC政策金利 | 政策金利の決定会合 |
| 9月20日 | FOMC議事要旨 | 金融政策の見通し確認 |
| 9月29日 | PCEデフレーター | インフレを測る重要指標 |
まとめ
9月の米国株市場は、アノマリー的な調整リスクを意識しつつも、堅調な企業業績や利下げ期待といった好材料によって下支えされる展開が見込まれます。
経済指標の結果やFOMCの決定内容は、今後の相場を左右する重要な材料となります。特に、インフレや雇用に関する最新データは、FRBのスタンスや利下げ時期を見極めるうえで注目されるでしょう。
市場が一時的に軟調となる場面では、好業績企業への押し目買い戦略が有効と考えられます。年末にかけて相場の方向性が問われる局面となるため、引き続き米経済と金融政策の動向を注視しながら柔軟に対応したいところです。












