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S&P500(エスアンドピー500)の今後(2025年5月)の見通しと4月の振り返り

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2025年5月9日

S&P500(エスアンドピー500)の2025年4月の振り返りと、2025年5月の見通し、注目イベント、投資戦略についてご紹介します。

本記事のポイントは、次の3つです。

ポイント

  • S&P500は4月に0.8%安、値動きの荒い展開に
  • 5月はトランプ関税交渉の進捗に一喜一憂する展開を想定
  • 好業績企業に選別投資

詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

2025年4月の振り返り

S&P500種株価指数は前月比0.8%安となりました。年初来ベースでは5.7%安です。

<S&P500は4月に値動きの荒い展開に(年初来)>S&P500は4月に値動きの荒い展開に(年初来)

出典:TradingView

4月もトランプ大統領の政策発表や言動に振り回され、値動きの荒い展開となりました。2日に市場の想定以上にきびしい内容となる「相互関税」が発表されたことを受け、米株式市場は急落します。

月半ばにかけて株式、債券、ドルが下げる「トリプル安」となる場面も見られました。7日の週には米国債の価格が急落し、米10年物国債利回りの上げ幅が23年ぶりの大きさとなったほか、安全資産とされる金(ゴールド)は過去最高値を更新する展開が続きます。

ただし、トランプ氏が9日に相互関税を90日間停止すると表明したことが好感され、米株式市場は急反発し、その後は月末にかけて関税交渉の進展期待などを下支えとして持ち直し基調が続きました。S&P500は2月19日の最高値から直近安値の8日にかけての値下がり幅の「半値戻し」にあたる水準まで回復しています。

S&P500セクター別に過去1か月の騰落率をみると、「情報技術(IT)」や「生活必需品」などが値上がりしました。一方、「エネルギー」が大きく売り込まれたほか、「ヘルスケア」や「素材」なども軟調な展開となります。

<S&P500業種別の株価パフォーマンス(過去1か月、4月30日時点、%)>S&P500業種別の株価パフォーマンス(過去1か月、4月30日時点、%)

出典:TradingView

ファクター別では、トランプ関税によるインフレや景気悪化懸念が高まった2月下旬以降、大きく値下がりしていたハイテク系の比率が高い「S&P500グロース指数」が月初来2.2%高と、「S&P500バリュー指数」(3.7%安)をアウトパフォームしました。

高関税の見直しや関税交渉の進展期待などを背景として市場は落ち着きを取り戻しつつあるなか、バリュエーション(投資尺度)が下がった好業績銘柄を中心に買いが入ったとみられます。

ただし、年初来では依然としてS&P500バリュー指数が相対的に底堅い値動きとなっている状況です。

<S&P500グロース指数(白線)とバリュー指数(青線)の推移(年初来)>S&P500グロース指数(白線)とバリュー指数(青線)の推移(年初来)

出典:S&Pグローバル

個別銘柄ではパランティア・テクノロジーズ(PLTR)GEベルノバ(GEV)クラウドストライク・ホールディングス(CRWD)ネットフリックス(NFLX)サービスナウ(NOW)などが大幅値上がりしました。これらの銘柄は好決算を発表したり、トランプ関税の影響を受けにくかったりする点が評価され、投資マネーが流入しています。

一方、エンフェーズ・エナジー(ENPH)APA(APA)ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)ハリバートン(HAL)などは2割を超える大幅値下がりとなりました。

4月の米原油指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物が3年ぶりの値下がり幅となるなか、多くのエネルギー関連株に加え、決算が振るわなかった銘柄も大きく売り込まれています。

第2次トランプ政権(トランプ2.0)による関税政策を巡る不確実性が高止まりするなか、相互関税が発表される前から企業や消費者の行動に影響を及ぼしている状況です。

2025年1~3月期の米実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率で0.3%減と、3年ぶりにマイナス成長となりました。

<1~3期のGDPはマイナスに>1~3期のGDPはマイナスに

出典:米商務省

輸出から輸入を差し引いた純輸出が成長率を4.83ポイント押し下げたほか、個人消費が1.8%増と、2024年10〜12月期の4.0%増と比べると大幅に減速しています。

25日に発表された4月の米ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)は52.2と、2022年7月以来の低水準となりました。4月の一連の関税措置を受け、インフレ期待は大きく高まった後にやや緩和したものの、依然として高水準を維持しています。

<1年先の期待インフレ率は高止まり(%、7日移動平均、4月25日時点)>1年先の期待インフレ率は高止まり(%、7日移動平均、4月25日時点)

出典:ミシガン大学

他方、米連邦準備理事会(FRB)が重視する3月の米個人消費支出(PCE)物価指数は前月比で横ばいと、市場予想に一致しました。食品とエネルギーを除くコア指数は市場予想(0.1%)に反して横ばいと、インフレの鈍化を示すものとなります。

<3月PCE物価指数は前月から伸びが減速(前月比、%)>3月PCE物価指数は前月から伸びが減速(前月比、%)

出典:米商務省

トランプ関税の影響が経済に対して本格的に表れるのは4~6月期以降になります。FRBのパウエル議長は関税の状況が明確になるまで金利を据えおく考えを示しており、今後も消費者や企業の心理を映すデータは「ソフトデータ」および実績値を積み上げた「ハードデータ」を注視する必要があるでしょう。

2025年5月の見通し

5月の米株式市場は、トランプ関税交渉の進捗に一喜一憂する展開が続くと想定します。

マクロ面ではトランプ2.0の関税政策を巡り、各国との交渉がまとまればポジティブ材料となりますが、中国や欧州連合(EU)などとの対立が激化すれば、景気の先行き不透明感が嫌気されるとみられます。今後は半導体や医薬品など品目別の関税措置の導入も見込まれるなか、トランプ氏による日々の発言に振り回される展開も続きそうです。

トランプ関税により景気後退(リセッション)懸念が燻るなかで注目度が高まっていた4月の雇用統計(2日発表)は、非農業部門の雇用者数が前月比17万7,000人増と、市場予想を上回りました。失業率は4.2%と3月から横ばいとなります。総じて雇用環境は底堅く、過度なリセッション懸念が和らいだ形です。

米中の貿易交渉の進展期待や堅調な雇用情勢などを受け、S&P500は約20年ぶりの9連騰と、相互関税で急落する前の水準(5,670)を上回る反発力を示しています。

市場の利下げ予想を確認すると、米金利先物の値動きから金融政策を予想する「CME FedWatchツール」では、5月2日時点において5月のFOMCで政策金利の据え置きを見込む確率は約97%、6月に0.25%以上の引き下げを見込む確率も3割強に留まります。足元のインフレ鈍化や堅調な雇用を背景に、FRBが利下げを急ぐ環境にないという見方が強まっている状況です。

<FedWatch(2025年6月)>FedWatch(2025年6月)

出典:CME Group

トランプ関税による雇用や物価への影響が顕在化してくるのは4~6月期以降とみられるなか、7月のFOMCで0.25%以上の引き下げを見込む確率は約81%になります。

ミクロでは米主要企業の2025年第1四半期の決算発表が進んでいます。

5月2日時点において、S&P500構成企業の72%が2025年第1四半期決算を発表するなか、1株あたり利益(EPS※1)は76%、売上高では62%がポジティブサプライズとなりました(出所:ファクトセット)。

※1 EPSとは、「Earnings Per Share」の略で、企業の「収益力」と「成長力」を評価する際に使われる指標の1つで、1株あたりの利益がどれだけあるのかを示すものです。基本的に数値が高いほど企業の収益力は高いとみることができます。

2025年第1四半期のS&P500採用企業のEPS成長率は12.8%増と、2四半期連続で2桁成長を遂げる見通しであり、足元の企業業績は総じて底堅さを維持している状況です。

ただし、今後はトランプ関税などの影響を受けて業績下振れリスクが懸念されます。実際、2025年第1四半期のS&P500採用企業の予想EPSは、平均を上回って大幅に引き下げられています。

具体的には第2四半期のボトムアップ予想EPSは4月に2.4%減少しました。過去10年間の平均減少率は1.6%であり、トランプ関税が経済や企業業績に及ぼす影響が今後大きくなると想定している模様です。

<予想EPSの修正率(ボトムアップ、四半期別)>予想EPSの修正率(ボトムアップ、四半期別)

出典:FactSet

S&P500業種別でみると、2025年第1四半期のボトムアップ予想EPSが最も減ったのはエネルギー(-14.8%)です。一方、増えたのは公益(+0.8%)とIT(+0.2%)の2セクターになります。

< S&P500業種別の予想EPSの修正率(ボトムアップ、四半期別)> S&P500業種別の予想EPSの修正率(ボトムアップ、四半期別)

出典:FactSet

S&P500構成銘柄の予想株価収益率(PER、12か月フォワード)は20.2倍と、過去5年の平均である19.9倍、過去10年平均の18.3倍と比較してやや割高な水準です。

<S&P500のPERの推移(12か月フォワード)>S&P500のPERの推移(12か月フォワード)

出典:ファクトセット

注目イベント、投資戦略

トランプ2.0下において経済及び市場の不確実性が高止まりし、企業の収益見通しが引き下げられるなかでは、好業績銘柄を選別投資する動きが強まるでしょう。

S&P500は今年2月下旬につけた最高値から直近の底値まで約19%値下がりし、辛うじて「弱気相場」入りを回避しました。

同指数は過去15年間に9回の調整局面(うち2回は本格的な弱気相場)入りしています(出所:モトリーフール)。9回の調整局面のうち8回、つまり約9割は翌12か月間でプラスのリターンを達成しており、平均18%の値上がりを記録しました。

依然として市場の不透明感が強いなかでは、好業績を確認できた銘柄に投資マネーが向かうと予想されます。

特に、S&P500の回復が継続するには、同指数構成銘柄のうち時価総額ベースで3割ほどを占める「マグニフィセント・セブン(M7)」が値上がり基調を取り戻すことが欠かせないでしょう。

マイクロソフト(MSFT)メタ・プラットフォームズ(META)などが人工知能(AI)向け設備投資を加速させる方針を確認できたことは市場に安心感を与えています。M7はメガトレンドであるAI革命をリードし、高い成長性・収益性を期待できることから、中長期的に投資妙味があると言えるでしょう。

主要経済指標の発表スケジュール
日付 指標名 補足
5月5日 ISM非製造業景況感指数 サービス業の景況感
5月7日 米連邦公開市場委員会(FOMC) 金融政策の決定会合
5月13日 米消費者物価指数(CPI) インフレの注目指標
5月15日 小売売上高 個人消費の動向
5月28日 FOMC議事要旨 前回会合の詳細
5月29日 1~3月期GDP改定値 経済成長率の改定速報
5月30日 PCEデフレーター インフレを測る重要指標

なお、米国株式には「Sell in May and go away. Do not come back until St Leger day」という相場格言があります。

セント・レジャー・デー(St Leger day)は、9月中旬に英国でおこなわれる競馬レースの開催日です。つまり「5月に株を売って、9月中旬以降に株式投資を再開せよ」という意味になります。

この格言は、5月から9月中旬にかけて米国株は軟調に推移し、9月中旬から上がりはじめる傾向にあるというアノマリー(経験則)によるものです。

5月から9月中旬にかけてさえない展開になる要因としては、5月までに確定申告の税還付の資金流入が一巡することや夏季休暇前のポジション調整などが挙げられます。

<S&P500のPERの推移(12か月フォワード)>S&P500のPERの推移(12か月フォワード)

出典:ファクトセット

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まとめ

2025年4月の米国株市場は、トランプ関税の影響やマクロ指標の悪化により不安定な展開となったものの、月末には交渉進展期待などを背景に持ち直す動きが見られました。S&P500は下落局面からの「半値戻し」まで回復し、市場は一定の落ち着きを取り戻しつつあります。

5月は引き続き、関税交渉の進展状況やFRBの金融政策、主要経済指標の結果などが株価の方向性を左右する重要な材料となります。トランプ氏の発言やAI投資関連のニュースも、投資家心理に大きな影響を与えるでしょう。

こうした不透明な環境下では、収益性や成長性が確認された好業績企業への選別投資が引き続き有効です。特に、AI関連銘柄や「マグニフィセント・セブン」など、構造的な成長が期待されるテーマにも注目が集まります。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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