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S&P500(エスアンドピー500)の今後(2025年6月)の見通しと5月の振り返り
S&P500(エスアンドピー500)の2025年5月の振り返りと、2025年6月の見通し、注目イベント、投資戦略についてご紹介します。
本記事のポイントは、次の3つです。
ポイント
- S&P500は5月に6.2%高と大幅反発
- 6月もトランプ関税を巡って一喜一憂する展開に
- 好業績銘柄に選別投資する流れも続く見通し
詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
2025年5月のS&P500(エスアンドピー500)を振り返り
S&P500種株価指数は前月比6.2%高と大幅反発しました。月間ベースでは2023年11月以来の値上がり率となります。2024年末比では0.5%高とプラス圏に浮上しました。
<S&P500は5月に大幅高(年初来)>
出典:TradingView
5月は米国と世界各国の貿易交渉が進展し、トランプ関税による混乱や米景気後退(リセッション)への懸念が和らいだことが投資家に好感され、リリーフ・ラリー(安ど感からの相場高)が続きました。
8日には米英が関税交渉で合意し、10〜11日に開いた米中協議後の共同声明で米中両政府が高関税の引き下げで合意したことを発表したことを受け、米株へのリスクオン(選好)姿勢が強まります。25日にトランプ大統領が欧州連合(EU)に対する追加関税の発動時期の延長を表明したことも、投資家心理の改善につながりました。
S&P500セクター別に過去1か月の騰落率をみると、「情報技術(IT、13.8%高)」や「通信サービス(11.0%高)」などが大きく値上がりしています。一方、「ヘルスケア(5.2%安)」と「エネルギー(1.0%安)」は軟調な展開となりました。
<S&P500業種別の株価パフォーマンス(過去1か月、%)>
出典:TradingView
ファクター別では、ハイテク系の比率が高い「S&P500グロース指数」が月初来9.3%高と、「S&P500バリュー指数」(2.8%高)をアウトパフォームしました。
関税交渉の進展を背景として、大きく値下がりしていたグロース株に投資マネーが流入する展開が続いています。年初来でみても、S&P500グロース指数は2.1%高とプラス圏に浮上する一方、S&P500バリュー指数は1.2%安と依然としてマイナス圏で推移している状況です。
<S&P500グロース指数(白線)とバリュー指数(青線)の推移(年初来)>
出典:S&Pグローバル
5月はS&P500の時価総額ベースで大きな比重を占める「マグニフィセント・セブン(M7)」が相場の回復をけん引しました。M7で構成される「ブルームバーグ・マグニフィセントセブン・トータル・リターン」は、2025年4月8日の安値から3割ほど値上がりして「強気相場」入りしています。
<ブルームバーグ・マグニフィセントセブン・トータル・リターンの推移(過去1年)>
出典:ブルームバーグ
トランプ関税による景気後退やインフレ高への懸念が和らいだほか、M7各社の2025年第1四半期決算が総じて良好な内容であったことが好感され、同指数は5月に大きく値上がりしました。
個別銘柄ではNRGエナジー(NRG、過去1か月46.4%高)やコンステレーション・エネルギー(CEG、同39.4%高)、GEベルノバ(GEV、同31.4%高)などエネルギー関連銘柄の一角が大幅値上がりしました。第2次トランプ政権(トランプ2.0)下における液化天然ガス(LNG)の輸出促進や原子力発電の推進といった政策に沿った銘柄に投資マネーが流入しています。
12日に米中両政府が90日間の一部関税の引き下げに合意したことを受け、中国比率の高いエヌビディア(NVDA、同29.4%高)やマイクロチップ・テクノロジー(MCHP、同30.3%高)なども大きく値上がりしました。
一方、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH、同26.2%安)やイーライ・リリー(LLY、17.0%安)、リジェネロン・ファーマシューティカルズ(REGN、同15.4%安)などヘルスケア関連の値下がりが目立ちます。軟調な決算のほか、トランプ氏が12日に米国の薬価引き下げに向けた大統領令に署名したことなどが嫌気されました。
5月に発表された米雇用統計や消費者物価指数(CPI)、個人消費支出(PCE)物価指数など「ハードデータ」は総じて、トランプ関税による景気後退やインフレ懸念を強める内容とはなりませんでした。これらの経済指標は概ね米国経済の底堅さを示すものであり、投資家に一定の安心感を与えています。
<底堅さを保つ米雇用環境(千人)>
出典:米労働省
<CPIは鈍化傾向(%)>
出典:米労働省
これらの経済指標の発表を受け、早期の利下げ観測は遠のいている状況です。
米連邦準備理事会(FRB)は7日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を3会合連続で据え置きました。政策金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は4.25〜4.5%で維持されます。
<高止まりするFF金利>
出典:セントルイス連銀
経済の不確実性が高止まりするなか、景気悪化と物価高が同時に進む「スタグフレーション」に陥るリスクが懸念されている状況です。そのようななか、物価の鈍化傾向や底堅い雇用環境を背景に、FRBのパウエル議長は利下げを急がない姿勢を堅持しました。
市場の利下げ予想を確認すると、米金利先物の値動きから金融政策を予想する「CME FedWatchツール」では、5月30日時点において6月のFOMCで政策金利の据え置きを見込む確率は約95%、7月も7割強に上ります。
<FedWatch(2025年6月)>
出典:CME Group
今後、トランプ関税による雇用や物価への影響が鮮明化してくる可能性があるなか、9月のFOMCで0.25%以上の引き下げを見込む確率は約75%になります。
FRBによる早期利下げ観測がしぼむほか、米財政不安の問題も重なるなか、米10年国債利回りは高止まりしている状況です。
<米10年国債利回り(%)>
出典:セントルイス連銀
大手格付け会社ムーディーズ・レーティングスが16日、米国の信用格付けを最上位の「Aaa(トリプルA相当)」から「Aa1(ダブルAプラス相当)」に引き下げました。22日にはトランプ減税の延長を含む大型法案を可決したことを受け、財政悪化への懸念が強まっています。
過去2年ほどは米長期金利が4.5%超へと高まると株価の上値が重くなる傾向がみられました。さらなる金利高はハイテク主導で回復している米株式相場に水を差しかねず、金利動向も注視する必要があります。
S&P500(エスアンドピー500)の今後(2025年6月)の見通し
6月の米株式市場は、先月に引き続きトランプ関税を巡って一喜一憂する展開となるでしょう。
マクロ面ではトランプ2.0の関税政策を巡り、相互関税に関する各国との交渉に加え、半導体や医薬品など品目別の関税措置の導入に伴う不確実性が続く見込みです。米裁判所によるトランプ関税差し止め請求の行方も見守る必要があります。
相互関税の上乗せ部分およびEUへの50%関税の発動は7月9日まで一時停止もしくは延期するとともに、米中が関税引き下げで合意したなか、各国との関税交渉にさらなる進展がみられるか注目です。
関税を取り巻く情勢が二転三転するなか、トランプ大統領の政策発表や言動に振り回され、米株式市場は値動きの荒い展開が続くでしょう。トランプ氏は5月30日に「中国は我々との合意を完全に破っている」と批判しており、高関税を再び発動するリスクがくすぶっています。同日には海外から輸入する鉄鋼・アルミニウム製品にかける追加関税を50%に引き上げるとも表明しました。
ミクロでは多くの米主要企業が2025年第1四半期の決算発表を終えています。
5月30日時点においてS&P500構成企業の98%が2025年第1四半期決算を発表するなか、1株あたり利益(EPS※1)は78%がポジティブサプライズとなり、5年平均の77%を上回りました(出所:ファクトセット)。
※1 EPSとは、「Earnings Per Share」の略で、企業の「収益力」と「成長力」を評価する際に使われる指標の1つで、1株あたりの利益がどれだけあるのかを示すものです。基本的に数値が高いほど企業の収益力は高いとみることができます。
S&P500構成銘柄の2025年第1四半期の利益成長に最も寄与した上位5社のなかには、M7からアルファベット(GOOGL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、エヌビディア(NVDA)の3社が入っています。残り2社はブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMY)とギリアド・サイエンシズ(GILD)です。
2025年第1四半期のS&P500採用企業のEPS成長率は13.3%増と、2四半期連続で2桁成長を遂げる見通しであり、足元の企業業績は総じて底堅さを維持している状況です。
ただし、トランプ関税やインフレ懸念を背景に、2025年第2四半期の予想EPSについては、アナリストが過去の平均を上回る下方修正をおこなっています。
第2四半期のボトムアップ予想EPSは、4月と5月の2か月間に4.0%減りました。通常、アナリストは四半期の最初の2か月間で利益予想を引き下げますが、過去10年間の平均引き下げ率である2.5%を上回っています。
<S&P500構成銘柄の予想EPSの修正率(ボトムアップ、四半期の最初の2か月間)>
出典:FactSet
S&P500業種別では全11業種で予想EPSが引き下げられました。2025年第2四半期のボトムアップ予想EPSが最も減ったのはエネルギー(-18.9%)です。一方、引き下げ率が小さい業種は通信サービス(-0.2%)や不動産(-0.7%)などになります。
<S&P500業種別の予想EPSの修正率(ボトムアップ、四半期の最初の2か月間)>
出典:FactSet
2025年通期でみると、2024年末から5月29日までにボトムアップ予想EPSは3.5%減りました。こちらも過去10年間の平均である2.3%を上回る引き下げ率です。通信サービス(+2.3%)が唯一、予想EPSが引き上げられています。
S&P500構成銘柄の予想株価収益率(PER、12か月フォワード)は21.3倍と、過去5年の平均である19.9倍、過去10年平均の18.4倍と比較してやや割高な水準です。
<S&P500のPERの推移(12か月フォワード)>
出典:FactSet
投資戦略、注目イベント
トランプ関税による経済および市場の不確実性が高止まりするなかでは、関税の影響を受けにくい、もしくはトランプ2.0の政策に合致した事業を展開する好業績銘柄に選別投資する動きが続くでしょう。
足元までは関税政策に翻弄されていますが、トランプ2.0下において今後は減税や規制緩和など成長を後押しするための政策に軸足をシフトしていく可能性があります。
さらに、米中が関税の大幅引き下げで合意したことを受け、複数の金融機関がS&P500の目標株価を引き上げました。例えば、ゴールドマン・サックスは5,900から6,100に、米調査会社ヤルデニ・リサーチは6,000から6,500に上方修正しています。
中国など貿易相手国との関税交渉の行方が見通せないなかでは、ファンダメンタルズ※2がしっかりした好業績銘柄に投資マネーが向かうでしょう。
※2 ファンダメンタルズとは国や企業などの経済状態を表す指標のことで、「経済の基礎的条件」と訳されます。企業の場合は、売上高や利益といった業績や資産、負債などの財務状況が挙げられます。
経済指標としては、以下の発表を控えています。
日付 | 指標名 | 補足 |
---|---|---|
6月2日 | ISM製造業景況感指数 | 製造業の景況感 |
6月4日 | ISM非製造業景況感指数 | サービス業の景況感 |
6月6日 | 雇用統計 | 雇用者数・失業率など |
6月11日 | 米消費者物価指数(CPI) | インフレの注目指標 |
6月17日 | 小売売上高 | 個人消費の動向 |
6月19日 | 米連邦公開市場委員会(FOMC) | 金融政策の決定会合 |
6月27日 | PCEデフレーター | インフレを測る重要指標 |
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まとめ
5月の米国株市場は、関税交渉の進展や好調な企業決算を背景に主要指数が大幅上昇し、ナスダックは「強気相場」入りとなりました。
6月も関税政策を巡る不確実性が相場に影響を与える見通しですが、米中合意や減税・規制緩和への期待もあり、市場は引き続き政策の動向に一喜一憂する展開が続きそうです。
投資戦略としては、トランプ2.0の政策に合致し、かつ業績の安定した企業への選別投資が有効です。市場の割高感や予想EPSの下方修正も意識しつつ、経済指標やFOMCなど重要イベントを注視していく必要があります。