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S&P500(エスアンドピー500)の今後(2026年4月)の見通しと3月の振り返り

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2026年6月17日

 

S&P500(エスアンドピー500)の2026年3月の振り返りと、2026年4月の見通し、注目イベント、投資戦略についてご紹介します。

本記事のポイントは、次の3つです。

ポイント

  1. 3月のS&P500は5.1%安と大幅に値下がり
  2. 4月はイラン戦争の行方を巡って上下に振れる不安定な展開に
  3. 13日の週から主要企業の2026年第1四半期決算発表がスタート

詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

2026年3月のS&P500(エスアンドピー500)を振り返り

2026年3月のS&P500種株価指数は前月比5.9%安となりました。過去1年間では17%高となります。

<S&P500の推移(過去1年間)>S&P500の推移(過去1年間)

出典:TradingView

米国・イスラエルとイランの軍事衝突が長期化し、原油高が経済・物価に及ぼす影響への懸念が強まったことが嫌気され、月を通じて売りに押される展開となりました。巨額の人工知能(AI)投資やAIによる代替懸念、プライベートクレジット(ノンバンク融資)不安も株価の重荷となっています。

S&P500セクター別に過去1か月の騰落率をみると、全11業種で「エネルギー(11.2%高)」のみ大きく値上がりしました。一方、「資本財(7.8%安)」や「通信サービス(7.3%安)」の値下がりが目立っています。

ファクター別では「S&P500バリュー指数」が月初来4.8%安、ハイテク系の比率が高い「S&P500グロース指数」は同5.4%安と、バリュー、グロースともに大きく売りに押される展開となりました。

<S&P500グロース指数(白線)とバリュー指数(青線)の推移(年初来)>S&P500グロース指数(白線)とバリュー指数(青線)の推移(年初来)

出典:S&Pグローバルを基に作成

個別銘柄ではライオンデルバセル・インダストリーズ(ティッカーシンボル:LYB、過去1か月44.1%高)やAPA(APA、同43.4%高)、ダウ(DOW、同42.4%高)など、石油、天然ガス、化学などエネルギー関連に投資マネーが集中しました。

一方、エスティーローダー(EL、34.5%安)やスーパーマイクロ・コンピューター(SMCI、28.5%安)、マコーミック(MKC、27.2%安)などが大きく値下がりしています。

6日に発表された2月の雇用統計は、非農業部門の就業者数が前月から9万2,000人減と市場予想(5~6万人増)に反してマイナスとなりました。直近3か月平均でみた伸びは6,000人に留まります。

過去分も下方修正されており、2025年12月は4万8,000人増から1万7,000人減、2026年1月は13万人増から12万6,000人増となりました。

失業率は4.4%と前月から悪化し、市場予想の4.3%も上回っています。

同日に発表された1月の米小売売上高は前月比0.2%減の7,335億ドルと、市場予想の0.4%減を上回りました。

ただし、足元では米国・イスラエルとイランの軍事衝突を受けた原油をはじめとするエネルギー価格の高騰により、個人消費への影響が懸念されている状況です。

11日に発表された2月の米消費者物価指数(CPI)およびエネルギーと食品を除くコア指数の伸び率はそれぞれ前年同月比で2.4%、2.5%と、いずれも市場予想に一致しました。

<米CPIの推移(%)>米CPIの推移(%)

出典:米労働省

両指数ともに鈍化傾向にありますが、項目別でみると食料品(前月比+0.4%)や燃料油(同+11.1%)、アパレル(同1.3%)などの値上がりが目立ち、家計の重荷になるリスクが出てきています。イラン戦争の影響を受け、ガソリン価格の高騰などインフレが懸念されている状況です。

今回の雇用統計とCPIに加え、足元のサプライチェーンの混乱を受け、高インフレと景気悪化が併存するスタグフレーションの懸念が強まっています。ウォーシュ次期FRB議長は弱含む雇用と物価の高止まりというリスクを抱えながら、追加利下げを実施するかむずかしい判断を迫られそうです。

18日まで開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)では事前の予想通り2会合連続で政策金利を据え置きました。政策金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利は3.5~3.75%となります。

<FF金利の推移(%)>FF金利の推移(%)

出典:セントルイス連銀

市場で注目されていたFOMC参加者による経済見通しにおいては、2026年の利下げ回数が1回(中央値、0.25%の利下げ)と想定されており、前回12月の見通しが維持されました。

FOMC参加者の経済見通し(中央値、%)
項目 2026年末 2027年末
前回(2025年12月予想) 今回 前回(2025年12月予想) 今回
政策金利 3.4 3.4 3.1 3.1
PCE物価指数 2.4 2.7 2.1 2.2
GDP成長率 2.3 2.4 2.0 2.3
失業率 4.4 4.4 4.2 4.3

委員19人のうち7人は少なくとも年末まで利下げをしないと回答する一方、1回の利下げを予想したのも同数となりました。米国・イスラエルとイランの軍事衝突を受け、物価見通しが引き上げられています。

FOMCの声明要旨では中東情勢が米経済に与える影響は不透明であると指摘されており、金融政策の方向性を探るうえで刻々と移り変わる中東および原油の動向を注視する必要があるでしょう。

米金利先物の値動きから金融政策を予想する「CME FedWatchツール」によると、2026年12月のFOMCで政策金利を維持する確率が約57%と最も有力な見方となっています(3月31日時点)。

<FedWatch(2026年12月FOMC)>FedWatch(2026年12月FOMC)

出典:CME Group

イラン戦争に伴う景気悪化懸念が広がっていることを背景に、市場で大きくしぼんでいた利下げ(1回、0.25%)確率は1週間前のゼロ%から25.6%まで高まっている状況です。一方、パウエル議長が30日の講演で現状の金融政策は適切と強調したことを受け、利上げ確率は1週間前の30.8%から15.7%まで下がっています。

2026年4月のS&P500(エスアンドピー500)の見通し

4月の米株市場はイラン戦争の行方を巡って上下に振れる展開になると予想します。停戦交渉が進めば売り方の踏み上げ(損失覚悟の買戻し)を巻き込んで株価は大きく反発する可能性がある一方、衝突が激化・長期化する様相が強まれば投資家の不安に拍車をかけてさらに大きく売り込まれるでしょう。

マクロ面では、米国・イスラエルとイランの軍事衝突を受けて原油が高騰し、スタグフレーション懸念が高まっている状況です。米原油先物市場ではWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)が約3年8か月ぶりの高値圏で推移しています。ホルムズ海峡が閉鎖されたまま米国が戦争を終結させた場合、必ずしも船舶の安全を確保できず、株式市場は原油の動向に左右される不安定な展開となりそうです。

米国では11月の中間選挙に向けて「アフォーダビリティ(価格の手ごろさ)」が1つの焦点になっています。トランプ大統領は早期停戦を望む一方、イランは長期戦に利があるとみられるなか、株式と逆相関となってきている原油価格の動向を左右する停戦交渉の行方を注視する必要があるでしょう。

ミクロ面では13日の週から主要企業の2026年第1四半期決算発表がスタートします。

S&P500構成銘柄の同期の予想1株あたり利益(EPS※1)は前年同期比13.0%増と、6四半期連続で2桁増益となる見通しです。

※1 EPSとは、「Earnings Per Share」の略で、企業の「収益力」と「成長力」を評価する際に使われる指標の1つで、1株あたりの利益がどれだけあるのかを示すものです。基本的に数値が高いほど企業の収益力は高いとみることができます。

これは3月27日時点における予想であり、米国・イスラエルとイランの軍事衝突が発生する前の2025年末時点の同12.8%増から上方修正されていることがわかります。過去10年間の平均である9.9%も大きく上回ると予想されています。

セクターレベルでは、11のセクターのうち9つが前年同期比で増益となる見込みであり、IT、素材、金融が牽引役となるとみられています。一方、ヘルスケアセクターと通信サービスは減益となる見通しです。

<S&P500業種別の利益成長率見通し(2026年第1四半期)>S&P500業種別の利益成長率見通し(2026年第1四半期)

出典:ファクトセット

さらに、2026年第2四半期は18.7%、第3四半期は20.8%、第4四半期は19.0%、2026年通年でみると17.1%と、企業業績は良好な展開が続く見込みです。

ただし、イラン戦争が長期化の様相を呈するなか、各社の経営陣が先行き見通しに対して慎重な姿勢を示し、アナリストも業績見通しを引き下げれば、株価の下押し圧力となり得ます。そのため、各社の経営陣による決算説明会での発言などに注目する必要があるでしょう。

S&P500構成銘柄の予想PER(12か月フォワード)は19.9倍と、過去5年の平均である19.9倍、過去10年平均の18.8倍と比較して割高感が薄れてきており、イラン戦争のリスクが一段と織り込まれつつある状況です。

<S&P500のPERの推移(12か月フォワード)>S&P500のPERの推移(12か月フォワード)

出典:ファクトセット

投資戦略、注目イベント

過去の地政学イベント後と特筆すべきイベントが発生しなかった期間のS&P500のパフォーマンスを比較すると、発生後の3か月間は市場が平均してアンダーパフォームするものの、6か月後および12か月後のリターンはあたかもそのイベントが発生しなかったかのように同水準となりました。

<S&P 500の平均リターンと地政学的イベント発生後のS&P 500の平均リターンの比較>S&P 500の平均リターンと地政学的イベント発生後のS&P 500の平均リターンの比較

出典:JPモルガンチェース

1940年のドイツによるフランス侵攻から2022年のウクライナ戦争にいたる80年間超の36件の地政学イベントの事象のうち、1973年のオイルショックのような例外はあるものの、総じて株価は半年後以降には値上がりしていることがわかります。

ウォール街では強気姿勢を堅持するストラテジストが散見されます。ゴールドマン・サックスは2026年末のS&P500の予想水準を現在の水準(3月31日終値)より16.4%高い7600に据え置きました。ただし、過去最悪レベルの原油供給ショックが生じた場合には5400程度まで下げ余地があると指摘しています。

バークレイズはS&P500の年末目標を従来の7,450から7,650に引き上げました。堅調な企業業績と底堅い経済成長を理由に挙げています。

米株式相場は当面、荒い値動きが続くとみられますが、過去の経験則や足元の堅調な企業業績を踏まえると、好業績に裏打ちされた銘柄の押し目を拾う戦略が有効となりそうです。

多くの投資家が恐怖に駆られて投げ売りしているときに、高クオリティー(収益性や安定性の高さ)銘柄を時間を分散して仕込むのは、長期投資家にとって有効な戦略の1つでしょう。

ソフトウエア銘柄はAIが業務ソフトを駆逐する「SaaSの死」に代替されるか否かに関わらず一緒くたに大きく売り込まれました。ただし、AIによって代替されにくい、もしくはAIを活用してさらに付加価値の高いソリューションを提供している銘柄は投資妙味があるとみられます。例えばクラウドストライク(CRWD)やパランティア・テクノロジーズ(PLTR)などが挙げられます。

巨額のAI投資懸念が根強いなか、価値の高い資産を持ち、事業の陳腐化のリスクが低い会社を指す「HALO株」も引き続き底堅い値動きになると予想されます。例えば、GEベルノバ(GEV)やキャタピラー(CAT)などが挙げられるでしょう。

2026年4月の主な経済指標・イベント
日付 イベント
4月1日 ISM製造業景況感指数、ADP雇用統計、小売売上高
4月3日 雇用統計
4月6日 ISM非製造業景況感指数
4月8日 FOMC議事要旨
4月10日 米消費者物価指数(CPI)
4月29日~30日 FOMC
4月30日 実質GDP(速報値)、個人消費支出(PCE)デフレーター(速報値)

まとめ

2026年4月の米株市場は、米国・イスラエルとイランの軍事衝突を巡る不透明感から、短期的には不安定な値動きが続くと見込まれます。地政学リスクの高まりによる原油価格の上昇はインフレ圧力となり、金融政策の難易度を高める要因となっています。

一方で、過去の地政学イベントを振り返ると、株式市場は短期的には下落するものの、中長期では回復する傾向が確認されています。こうした経験則に加え、堅調な企業業績や経済の底堅さを踏まえると、過度な悲観は不要と考えられます。

実際に、ウォール街では2026年末に向けてS&P500の上昇を見込む強気な見方が維持されており、企業利益の拡大が引き続き株価の下支えとなるでしょう。

投資戦略としては、相場の変動に振らされるのではなく、好業績かつ競争優位性の高い銘柄を中心に押し目を拾う姿勢が重要です。特にAI関連の成長銘柄に加え、資産価値が高く安定した収益基盤を持つ銘柄を組み合わせることで、リスク分散を図ることが有効といえます。

不透明な局面ではありますが、中長期視点を維持しつつ、冷静に投資機会を見極めていくことが求められるでしょう。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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