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SVB(シリコンバレー銀行)はなぜ破綻した?理由や日本への影響、今後どうなるのかわかりやすく解説

まゆ担当:まゆ

最終更新日:2023年3月14日

お知らせ
(2023年3月14日追記)日本の株式市場への影響の部分に、「銀行業や保険業が下落している理由」を追記しました。

2023年3月10日、アメリカの地方銀行「SVBシリコンバレー銀行)」が経営破綻しました。「過去10年あまりで最大の銀行破綻」と言われており、ニュースやSNSでは、SVBの破綻による社会や株式市場への影響が心配されています。また、“銀行の経営破綻”は2008年のリーマンショックを連想させるため、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

結論を先にお伝えすると、「今回のSVB破綻は固有の問題であり、リーマンショックのようにはならない」と考えられます。

このコラムでは、SVBが経営破綻した背景・原因はもちろん、日本やアメリカの株式市場への影響をわかりやすく解説します。ぜひ最後まで読んでくださいね!

SVB(シリコンバレー銀行)が経営破綻した理由

SVB(シリコンバレー銀行)が経営破綻した原因はなんだったのでしょうか?理由を整理していきましょう。

SVBが経営破綻した理由

「預金の取り付け騒ぎ」と「増資の失敗」により、流動性不足※1に陥ったため

※1 流動性不足とは、預金を支払うための現金がなくなってしまうことを言います。

うーん…。正直よくわかりません。

アセアセまゆ

指さしひっきー

ぱっと見むずかしいですよね。SVBが経営破綻にいたるまでを、順を追ってわかりやすく説明しましょう!

SVBはいつ破綻した?経営破綻するまでのできごと

SVBがいつ、どのような流れで経営破綻したのか、破綻するまでのできごとをかんたんにまとめました。

SVBが経営破綻するまでのできごと

  1. 2022年に開始された「利上げ」によって債券の価格が下落
  2. SVBが顧客の預金で運用している「MBS※2」と呼ばれる債券の価格も下落
  3. 利上げによってSVBのメイン顧客である「スタートアップ」の資金調達がむずかしくなり、銀行預金を引き出しながら経営
  4. SVBは顧客の預金引き出しに対応するため、価格が下がっていたMBSを売却して現金を確保し、損失を計上
  5. 損失を補填するため、株式を発行しようとした(増資
  6. 増資に失敗して流動性不足になり、2023年3月10日に経営破綻

※2 MBSとは、「Mortgage Backed Securities」の略です。日本語では「不動産担保証券」と呼びます。

このように、「利上げによる債券価格の下落」と「顧客の預金引き出し」が重なったため、現金が不足して経営破綻してしまったのです。

SNSを見ていると、「他の金融機関に影響が及ぶのではないか」という話も出ていますが、実際どうなんでしょう?また、リーマンショックみたいになるんじゃないかって不安になります。

はてなまゆ

指さしひっきー

影響はゼロではないと考えられますが、“リーマンショックほどのインパクトはない”と考えています。

SVBの経営破綻はリーマンショックと比較してどんな違いがある?

SVBの経営破綻は、リーマンショックのような危機にはならないと考えられます。理由は、リーマンショックは金融業界が抱える構造的な問題※3が原因でしたが、今回の経営破綻はSVB固有の問題が原因だからです。どうしてこのようなことが言えるのか、理由を説明します。

※3 リーマンショックの原因となった構造的な問題とは、「MBSの格付けの甘さ」や「銀行の自己資本比率の低さ」、「本来なら住宅ローンを発行すべきではない人にも発行したこと」などが挙げられます。今回のSVBの経営破綻では、このような構造的な問題が原因ではありません。

  • SVBは「スタートアップ」をメインの顧客にしている
  • SVB自身のリスク管理が甘かった

それぞれ説明しますね。

SVBは「スタートアップ」をメインの顧客にしている

SVBのメイン顧客は「スタートアップ」です。事業を立ち上げて間もないベンチャー企業ですね。スタートアップは売上ゼロの状態からサービスを作っていくので、経営に必要なお金を投資家などから集めてきます。このような企業の資金を、SVBが預かっていたわけです。

スタートアップの資金調達は、金利が安定している状態であれば問題なくできるでしょう。実際、コロナ禍の金融緩和によって資金調達バブルが起き、SVBの預金が急増しました。

しかし、2022年にはじまった利上げによって、資金調達がしづらくなってしまいました。資金調達できなければ、手元にある現金を取り崩して経営していくしかありませんね。このため、SVBが預かっているお金がどんどん引き出される事態になりました。

SVB自身のリスク管理が甘かった

また、SVB自身のリスク管理の甘さも経営破綻につながりました。SVBはコロナ禍の資金調達バブルで急増した預金を、貸出ではなく「MBSでの運用」に回しました。そのため、SVBの預貸率※4はアメリカの銀行の中で低くなっています。これはJPモルガンの資料がわかりやすいです。

※4 預貸率(よたいりつ)とは、「貸出金÷預金」で計算される指標です。銀行の預金に対する貸出金(融資)の比率を表します。

アメリカの銀行の預貸率

出典:JPモルガン「Silicon Valley Bank failure」[PDF]

上のグラフの縦軸が「預貸率」、横軸が「貸出金と有価証券の比率」を表しています。赤枠部分がSVBであり、預貸率が低い代わりに有価証券を多く持っている様子がわかりますね。有価証券とは先ほど紹介したMBSのことで、金利が上がると価格が下がり、金利が下がると価格が上がる性質を持っています。

このように、金利に左右されやすく損失が出やすいMBSを大量に保有していたことが、今回の経営破綻を引き起こした理由のひとつなのです。

指さしひっきー

繰り返しになりますが、SVBの経営破綻は、“SVB固有の事情によるもの”です。そのため、金融機関の構造的な問題が引き起こしたリーマンショックとは違い、金融市場全体に大きな影響を及ぼすとは考えにくいでしょう。

SVB破綻に対する当局の対応

日本経済新聞の報道によると、SVBの経営破綻を受けて「預金者を完全に保護する」ことが決まったようです。

【ワシントン=高見浩輔】米財務省と米連邦準備理事会(FRB)、米連邦預金保険公社(FDIC)は12日、米銀シリコンバレーバンク(SVB)の破綻について共同声明を公表した。イエレン米財務長官は預金者を完全に保護する方法で破綻処理を完了する措置を承認した。FRBが銀行の資金繰りを助ける新たな枠組みを導入する。

出典:日本経済新聞「米財務省など「シリコンバレー銀行の預金、全額保護」」

これによって、取り付け騒ぎの拡大は抑えられるでしょう。また、懸念されていたスタートアップの給与支払遅延や大規模なリストラ、倒産は回避できると考えられます。

株式市場への影響は?

SVBの経営破綻により、アメリカと日本の株式市場にどのような影響があったのかまとめます。

アメリカの株式市場への影響

NYダウの推移(2日間)>

NYダウの推移(2日間)

(出典:SBI証券

SVBの経営破綻を受け、3月10日のNYダウは前日比▲1.1%となりました。2022年6月中旬以来の大きな下落です。他の銀行でも経営破綻が起きるとの不安から、銀行株を中心に株価が下落しました。

日本の株式市場への影響

日経平均株価の推移(2日間)>

日経平均株価の推移(2日間)

(出典:SBI証券

SVBの経営破綻後初の取引となる3月13日の日経平均株価は、前日比で大幅に下落しています。3月13日の13:30時点では、前日比で▲1.5%程度の下落です。

業種別に見ていくと、銀行業の株価下落が大きくなっています。下の画像は、2023年3月14日11:00現在の銀行業全体の株価推移です。

銀行業全体の株価推移

出典:日本取引所グループ「株価リアルタイムグラフ - 銀行業」

銀行業には、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)三井住友フィナンシャルグループ(8316)などのメガバンクのほか、千葉銀行(8331)琉球銀行(8399)といった地方銀行が含まれています。

このうち、地方銀行は“債券を多く持っている”点がSVBと共通しているため、「SVBのように経営破綻する可能性があるのでは」との思惑から株が売られているようです。

しかし、SVBが経営破綻したのは「短期間で引き出されるお金を、長期の債券で運用していた」ことが原因です。債券自体に問題があるわけではなく、リスク管理上の問題なので、日本の地方銀行の経営破綻につながるとは考えにくいでしょう。

今後はどうなる?

アメリカの財務省と連邦準備理事会(FRB)、連邦預金保険公社(FDIC)の共同声明で、「預金者保護」が発表されました。政府の迅速かつ適切な対応により、取り付け騒ぎは抑えられスタートアップの給料支払遅延や倒産といった問題は起きないと考えられます。

また、SVBの経営破綻は「SVB固有の問題」が引き金となっているため、リーマンショックのような深刻な金融危機に発展するとは考えにくいです。

この他、SVBの経営破綻に関する続報が発表された場合は、こちらの記事で追記していきます。

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指さしまゆ

2023年の運用実績

運用報告ページ 資産評価額
2023年1月1週目 329,317円(▲0.2%
2023年1月2週目 336,182円(+1.9%
2023年1月3週目 343,747円(+4.2%
2023年1月4週目 353,102円(+7.0%
運用報告ページ 資産評価額(前週比)
2023年2月1週目 347,813円(+5.4%
2023年2月2週目 352,928円(+6.9%
2023年2月3週目 354,648円(+7.5%
2023年2月4週目 358,538円(+8.6%
運用報告ページ 資産評価額(前週比)
2023年3月1週目 397,342円+10.4%
2023年3月2週目 392,623円(+9.1%
2023年3月3週目 358,401円(▲0.4%
2023年3月4週目 356,637円(▲0.9%
2023年3月5週目 397,737円+2.0%

※ 30,000円入金したため、資産評価額が大きく増えています。前週比の増減は修正ディーツ法で計算しています。

運用報告ページ 資産評価額(前週比)
2023年4月1週目 397,737円(▲0.5%
2023年4月2週目 401,130円(+2.9%
2023年4月3週目 404,282円(+3.7%
2023年4月4週目 425,202円+1.2%

※ 30,000円入金したため、資産評価額が大きく増えています。前週比の増減はディーツ法で計算しています。

運用報告ページ 資産評価額(前週比)
2023年5月1週目 425,265円(+1.3%
2023年5月2週目 428,732円(+2.1%
2023年5月3週目 431,456円(+2.7%
2023年5月4週目 430,793円(+2.6%
運用報告ページ 資産評価額(前週比)
2023年6月1週目 442,047円(+2.6%
2023年6月2週目 459,087円(+3.9%

2022年の運用実績

運用報告ページ 資産評価額(前週比)
【2022年5月4週目】
はじめて株を買いました!
100,778円
運用報告ページ 資産評価額(前週比)
【2022年7月1週目】
景気後退懸念で株価下落・下方修正発表と大変な1週間でした
103,226円(▲3.9%
【2022年7月2週目】
はじめての損切り
136,676円+6.4%
【2022年7月3週目】
不動産テックの銘柄を購入!
137,788円(+7.2%
【2022年7月4週目】
セーフィーがすごいので買い増しをしました!
138,740円(+7.9%
【2022年7月5週目】
ゲンキーの最新決算を分析!
166,234円+3.9%

※ 30,000円入金したため、資産評価額が大きく増えています。前週比の増減は修正ディーツ法で計算しています。

運用報告ページ 資産評価額(前週比)
2022年12月1週目 287,760円(+2.8%
2022年12月2週目 287,715円(▲45円
2022年12月3週目 285,037円(▲2,678円
2022年12月4週目 274,282円(▲10,755円
2022年12月5週目 335,997円+11,715円

※ 30,000円入金したため、資産評価額が大きく増えています。前週比の増減はディーツ法で計算しています。

まゆ

この記事の執筆者

まゆ 

名古屋の新卒OLで、投資初心者です。「やさしい株のはじめ方」で株を勉強して、10万円を10年で1,000万円に増やせるか挑戦中!

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